MIN-IRENトピックス
2019年11月29日
お金をかけない健康法
これまで、ウオーキング(散歩)や筋トレなど適度な運動の重要性を強調してきました。今後は食事の重要性にも触れますが、参考になればと健康に関する書籍や週刊誌などを多数読んでいます。なかには重要性や効果を強調するあまり、オーバーな表現(誇大広告)になっているものに遭遇します。
サプリメントや健康法の広告 手元にある新聞を改めて見直してみました。全面広告(費用は数百万円単位のようです)だと実に目立ちます。膝・腰・肩痛治療、育毛剤、疲労緩和、“血液サラサラ”など多岐にわたりますが、3~4割が大手製薬会社でした。
サプリメントの宣伝で、「そのツライ痛みに効きます!」「大学教授や栄養士が注目」など…。以前から医療効果と紛らわしい表現が批判され、一定の法規制が行われています。しかし、サプリメントは「お金がかかる健康法」です。
健康に関する書籍の広告 新聞によく載っていますが、表現はオーバーです。「糖尿病と合併症はどんどん治る!」「薬なし 減塩なし! 1日1分で血圧は下がる、 降圧運動」「血糖値、高血圧がみるみる下がる」など、多くの人が飛びついてしまいそうな宣伝文句です。「国内一流大学教授陣によって立証」されたとか、「テレビ出演で大注目の著者!」など、権威づけされてもいます。
「病気が治る」との過剰な宣伝文句 ある書籍では「病気は歩くだけで治る」として、エビデンス(科学的根拠)はないが「経験上最も有効な治療法だと確信している」などと説明します。
さらに、ある自治体の殆どの住民が長期間にわたって協力した調査をもとに「究極の歩き方」があるとして、歩数と強度の組み合わせで高血圧・がんなどの「予防」ができると断言します。本のタイトルに「治る」と銘打ちながら、本文では「予防」効果と説明するのです。
生活習慣病の原因および改善法は単一ではありません。運動不足の解消は重要ですが、歩くことだけに一元化することは不適切だと思います。また「治る」との表現も、いかがなものでしょうか。
「医者に頼らなくてもがんは消える」とか「簡単、無料で医者いらず」のように医療を事実上否定するのは、それを読んだ患者が適切に受診する機会を逃し、命に関わる事態を招きかねないと危惧しています。
大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)
いつでも元気 2019.12 No.338
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