くすりの話

2006年10月1日

くすりの話 90 いま話題のイレッサ

Q:イレッサとは、どんな薬ですか?

A:世界的な大企業アストラゼネカ社が開発した肺がんの治療薬です。正常な細胞には作用せず、がん細胞の中にある異常な分子を攻撃して増殖を抑える分子標的治療薬として開発されました。
 「飲み薬なので手軽」「効果が高い上に副作用が少ない」「画期的な夢の新薬」として発売前から大々的に宣伝され、小泉改革の規制緩和とあわせ、異例の早 さで2002年7月に世界に先がけて日本で承認された薬です。

Q:何が問題になっているのですか?

A:販売開始後、2年半で588人もの死亡者が出ました。急性肺障害、間質性肺炎などで多くの患者が呼吸困難に襲われて亡くなっています。
 一方で米国では、2004年12月に「イレッサに延命効果はない」という臨床試験結果が出て、欧州では認可の申請が取り下げられました。
 現在、遺族がアストラゼネカ社と国を相手どって5つの争点で訴訟をおこしています。(1)延命効果が証明されていない、害が大きい設計上の問題、(2) 副作用警告の不十分さ、(3)副作用のほとんどない夢のような新薬とうたった広告宣伝上の過失、(4)市販後の全例調査を指示しなかった販売上の欠陥、 (5)非小細胞がん一般を適応とした適応拡大の欠陥を問うています。
 また、抗がん剤の承認制度そのものを問う視点でも問題提起がされています。日本の抗がん剤承認制度は、延命効果の有無は発売後に調査すればよい、とされています。
 さらに抗がん剤は、医薬品副作用救済制度から除外されていることも問題です。たとえば抗がん剤を使用して、血液などの免疫力が低下して死亡した場合は、 救済の対象とはなりません。抗がん剤で死ぬのは仕方がない、と判断されています。副作用で犠牲になる人が出ても、国も企業も責任をとらず、救済には誰も責 任を負わない仕組みになっています。結果として残るのは、企業の利益だけです。

Q:イレッサを適正に使用するには?

A:現在イレッサを服用しているがん患者と家族と協調しながら裁判をすすめ、服用中の患者への責任をもった供給も、原告団は求めています。
 また、副作用死を防ぐためには投与初期に現れることがある急性肺障害、間質性肺炎に注意しなければなりません。開始後4週間は入院、またはそれに準ずる 管理の下で、胸部レントゲン検査などによる観察が必要です。
 安全対策は進んでいますが、服用中の方やこれから服用する方は、十分に医師・薬剤師の説明を受けてください。
 裁判は今冬には証拠調べに入り、来年中には結審する予定です。訴訟支援にもぜひ、ご協力ください。
◇訴訟に関しての問いあわせは
 城北法律事務所  03-3988-4866

いつでも元気 2006.10 No.180

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