声明・見解

2020年10月1日

【声明2020.10.01】国に対して生業訴訟における仙台高裁の判決を受け止め、上告断念を求める

2020年10月1日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田剛

 福島第一原発事故で福島県と隣県の住民が国と東京電力に対して損害賠償と放射線量低減による原状回復を求めた生業訴訟について、2020年9月30日に仙台高裁は国と東京電力に対して賠償責任を認めるとともに、原告3,550人に対して一審を上回る約10億1,000万円の支払いを命じた。本判決は一審判決に続き、本件事故についての東京電力及び国の法的責任を明確に認め断罪し、さらに原告の被害の訴えを正面から受け止めた画期的な判決となっている。また高裁では初めて国の責任を認める判決となった。
 本判決では事故について「少なくとも2002年末頃までには、10mを超える津波が到来する可能性について認識し得た」として予見可能性を認め、結果回避可能性についても建屋の水密化等により事故を防ぎ得たとして国と東京電力の過失責任を認めた。
 福島原発事故を経験してもなお政府はエネルギー政策ではベースロード電源として原発を位置づけ原発の再稼働、核燃料サイクルを推し進めようとしている。東京電力は原発事故を起こし甚大な被害を生み出した張本人であるにも関わらず、国の定めた中間指針に基づいた不十分な賠償を見直さず、さらには裁判外紛争解決手続(ADR)の打ち切りをするなど、被害者に対して不誠実な対応を続けている。これらの対応と政府の政策は決して許されない。
 本判決によって国と東京電力の過失を認めたことは事故の再発防止や被害者の救済、被災地の復興に向けて大きな前進となった。国と東京電力には上告を断念し、本判決を真摯に受け止め福島第一原発事故で被害を受けた全ての方に対して一日も早い救済を求める。さらにもう二度と原発による被害を生まないために原発廃止、原発依存からの脱却、再生可能エネルギーを中心としたエネルギー政策への転換を求める。
 全日本民医連はこれからも原発事故による被害者の不安に寄り添い、被害者の一日も早い救済と原発ゼロを求め市民社会と連帯していく。

以上

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