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2020年11月30日

お金をかけない健康法

 寒くなると血圧が上がりやすくなり、血圧高めの方が増えます。血圧130以上を高めとすると2700万人、50代以上の3人に1人です。
 高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、ほとんどが特別な症状はありません。しかし放置すると知らぬ間に心臓や血管の病気が進み、心筋梗塞や脳卒中など生命に関わる病気を引き起こします。この予防が高血圧治療の目的です。
 血圧サプリの宣伝が、マスコミやインターネット上で目立ちますね。特に3年連続売り上げ1位の大手製薬メーカーの商品は、大宣伝を繰り広げています。
 メーカーは「血圧が高めの方に適し、血圧がおだやかになる傾向を確認」と宣伝します。実はトマト酢を使った血圧サプリが、「血圧低下作用がある」と宣伝して消費者庁から勧告を受けて以来※1、この表現は各社共通です。
 医学的根拠のある血圧降下作用をもつサプリは存在しません。血圧を下げるには総合的な生活習慣の改善が必要で、それだけでは下がらない場合に降圧剤の服用を勧められます。生活習慣の改善は、減塩・運動・減量・節酒などで、特に減塩が重要です。
 塩分を摂りすぎると血圧が上がりやすいことは常識ですね。学会レベルのさまざまな指針で、一貫して強調されています。※21日の塩分摂取量の目安は男性8g未満、女性7g未満で、高血圧の人は6g未満です。現状では平均2~3gは摂り過ぎており、減塩すれば血圧が下がりやすくなります。同時に運動・減量を行えばより効果的です。
 一方、一部の研究者が“減塩見直し論”をとなえています。※3食塩で血圧が上がる体質(食塩感受性)がない高血圧の人には、減塩の意味はないとする考え方です。しかし、現実には食塩感受性の検査ができませんので、一律減塩指導ということになります。
 また、減塩による身体への害はありません。「みそ汁などの汁物は1日1回に」と言われるのも減塩のためです。同時に、食事全体で塩分・醤油の制限を行いたいものです。一番重要なのは栄養バランスを考えた食事で、特に強調されるべきなのはやはり減塩です。

※1 2016年、消費者庁はライオン株式会社に対し、健康増進法に基づく勧告を行った。特定保健用食品「トマト酢生活」の宣伝に“驚きの「血圧低下作用」”と、あたかも血圧を下げる効果があるように表示したこと、薬物治療によらず改善効果が得られるかのように表示したことについて、「著しく人を誤認させる」とした
※2 「高血圧の予防のためにも食塩制限を―日本高血圧学会減塩委員会よりの提言」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)など
※3 減塩見直し論の立場から、(1)食塩感受性遺伝子をもっていない人にとっては、塩分摂取を制限してもあまり意味がない、(2)主にみそ汁を減らすことで減塩を達成しようとすると、みそ汁に含まれる高血圧抑制栄養素(カリウム、マグネシウム)を欠乏させる、などの主張がある

いつでも元気 2020.12 No.349

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