MIN-IRENトピックス

2020年10月30日

お金をかけない健康法

 肥満克服についてお話ししてきましたが、減量のためのサプリメントに興味を持つ方も多いと思います。サプリメントに詳しい薬剤師の藤竿伊知郎さんに聞きました。
(質問1)減量サプリがマスコミでとても魅力的に宣伝されています。本当に効果があるのでしょうか。
(回答)「飲むだけでスマートに」などの宣伝文句で、しかも販売しているのが有名企業となると、「効くのではないか」と購入する方もいらっしゃるかもしれません。残念ながら減量効果が期待できるサプリは1つもありません!
 減量サプリは「脂肪や糖の吸収を低下させる」とアピールしますが、その科学的根拠は示さず、主に宣伝されるのは利用者の満足度(主観)です。いわば誇大広告で、新成分を配合した製品が次々と発売され、売り上げを伸ばしています。
(質問2)脂肪を減らす効果を謳うサプリはいかがですか。
(回答)減量サプリで人気が高いのは、脂肪を減らす製品です。体内の脂肪の分解と燃焼を促進させることで、お腹の脂肪を減らせると宣伝しています。
 しかし、この宣伝でトップクラスの売り上げとなった「葛の花由来イソフラボン」製品が、誇大広告だとして行政処分を受けました。※1実はこの効果の根拠とした研究で、被験者は1日の摂取カロリーを2000キロカロリー程度に抑え、毎日9000歩ほど歩いていたのです。その後、広告の中にそれを記載することで販売は続けられています。
(質問3)減量サプリによる健康被害は心配ありませんか。
(回答)市販の機能性表示食品※2や特定保健用食品(トクホ)で使われる成分は、一応安全と考えられます。しかし、インターネット上やセールスマンから購入する製品の中に、医療で使われる薬効成分が含まれている場合があります。※3規制を逃れた医薬商品であることを知らせずに販売されており、副作用による健康被害の心配があります。過去には肝障害で亡くなった方もいますので、ご注意ください。「本当に痩せるサプリは『ほぼ毒』!?」と発信している専門家もいます。
 今と同じ生活を続けながら、サプリだけで痩せることはできません。ダイエット商品を探す熱意とお金を、生活習慣や食事の改善に振り向けてはいかがでしょうか。

※1 2018年1月、消費者庁は販売業者9社へ景品表示法による総額1億1088万円の課徴金納付命令を出した。この金額は売り上げの3%に相当する。
※2 機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠など必要な事項を消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度。特定保健用食品(トクホ)と異なり、国が審査を行わないため、事業者は自らの責任において科学的根拠を基に適正な表示を行う必要がある。
※3 食欲抑制剤、興奮剤、甲状腺ホルモン、下剤、利尿剤を含んだ製品が必要な販売承認を得ずに輸入され、流通している。


藤竿伊知郎さん
薬剤師・薬学修士。株式会社外苑企画商事(東京民医連)地域連携室室長。著書に『サプリメントとの賢いつきあい方』(あけび書房)など

いつでも元気 2020.11 No.348

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