MIN-IRENトピックス

2021年2月2日

人権・平和が生きる社会の転換点に

 第44回総会から激動の1年がたとうとしています。2月20~21日に第44期第2回評議員会をオンラインで開きます。世界が大きく変化する中、これまでのとりくみ、これからの課題や展望を盛り込んだ第2回評議員会方針案のポイントについて、全日本民医連の岸本啓介事務局長に聞きました。(稲原真一記者)

岸本事務局長に聞く第2回評議員会方針

 この1年、日本社会は誰も経験や想像をし得なかったパンデミックに直面しました。その中で民医連の活動を継続できたのは、全国の職員や家族、共同組織のみなさんの奮闘があってのことです。互いにたたえ、励まし合いましょう。
 昨年の第44回総会は運動方針で人権や格差に目を向け、困難な人に寄り添い、アウトリーチを強化することなどを強調しました。この視点を持っていたから、大変な状況でも活動を続けられました。そのことに確信を持ちましょう。

激動・転換点にある時代 -第1章

 1月22日、核兵器禁止条約が発効しました。安倍政権が強硬にすすめてきた憲法9条改憲は、2020年度中の実施は不可能になりました。世界でも日本でも大学の学費無償化や最低賃金の引き上げ、富裕層への課税強化を求める声、地球規模の気候危機打開の運動の高揚など、これまでの効率一辺倒の新自由主義からの転換が課題となっています。
 こうした中で、管政権をどう見るか。昨年秋の首相就任以降、感染拡大の中でGoToキャンペーンに固執し感染を加速させました。21年度予算では経済対策に感染対策の約10倍を計上し、営業自粛を拒否した事業者や入院を拒否した患者への刑罰の導入を検討しています。高齢者の医療費窓口負担2割化をはじめとした国民負担増、地域医療構想をおしすすめ、病床削減を強行しようとしています。非科学的で、国民の思いとは逆行しています。
 まず国民を守るべき政府が自助を強調することが異常であり、まさに民主主義、国家の危機と言える状況です。このことを私たち自身の現状、目の前の患者や利用者の困難を通して考えましょう。
 第44回総会で提起された平和と人権を守る運動の重視は、今こそ求められています。

職員と患者をまもり抜く -第2章

 第2章では第44回総会の中心点から到達を整理し、9つの分野の方針を提起しました。この1年の活動を各県連・法人・事業所の実践と重ねて、議論をお願いします。
 新型コロナウイルス感染症は、第三波の嵐の真っただ中にあります。助かるいのちを守れない医療崩壊の危機の中で、感染抑止、医療崩壊の防止、経済的困窮者の支援に集中する、その先にしか未来はありません。この状況を前に「押し寄せる医療崩壊の危機から、職員と患者をまもり抜きましょう」と、四役会議の訴えを出しました。対策の基本は、昨年8月の「中間的な取りまとめ」(「民医連新聞」号外2020年9月15日付)に集約されています。全国で学びなおしましょう。職員のいのちと健康を守ることが第一義的課題であると再確認しましょう。ICN(感染管理認定看護師)の全県での養成も大きな課題です。
 尼崎医療生協病院への支援は、大きな困難がある中でも感染対策を徹底して全国から行い、民医連の強みが発揮できた経験でした。
 国による医療機関への財政支援は、一刻も早い支給と、すべての医療機関を対象に減収に見合う補てんを求めていきます。コロナ感染者を受け入れていない医療機関もそれぞれの役割を担い、地域医療をささえています。医療現場に分断を持ち込むような民間病院への批判は、容認できません。
 コロナ禍でも地域に孤立を生まない共同組織の活動は、大きな役割を果たしています。共同組織は民医連の一番大切な仲間・宝であり、これまでの教訓をもとに発展させましょう。
 医師と経営の課題での前進は、2020年代の民医連にとって特別な位置づけを持ちます。かならず前進しましょう。
 共闘の課題では核兵器廃絶、沖縄の米軍基地の問題、そして東日本大震災10年の節目にふさわしい運動が必要です。

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 第2回評議員会方針案では“転換点”という言葉をくり返し使っています。「コロナ前の社会に戻っていいのか」という意味を込めました。自己責任を強調し、いのちも尊厳も保てなくなる。そんな社会に戻してはなりません。
 今年秋までには、かならず総選挙があります。政権選択の選挙であり、社会を大きく変えるチャンスです。人権、平和が大切にされ、健康と暮らしが守られる社会の実現のため、理事会は先頭に立ちます。

(民医連新聞 第1730号 2021年2月1日)

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