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2021年4月6日

熊本 「神様がおりてきた!!」 食料支援でつながる学生の輪

 コロナ禍により困窮する人たちに、さまざまな支援が全国で行われています。熊本では学生や家庭向けに、食料や日用品を配布し、相談できる場所づくりをしています。学生食料支援では、相談や学生へのアンケートも行い、学生が必要とする支援を県や大学に要望しました。(代田夏未記者)

 学生への食料支援はひとりの大学生の悩みから実現しました。熊本大学1年生(当時)の柳生(やぎゅう)陸太さんは、学費を奨学金とアルバイトで賄い、生活しづらさを感じていました。自分以外にもコロナ禍で困窮したり、孤立している学生がいるのでは、と学生食料支援プロジェクトを立ち上げ。熊本・菊陽病院の森麻里恵さん(SW)も実行委員のひとりです。
 実行委員会は大学生を中心に、協力を申し出た団体などから10人ほどが参加しています。食料支援の配布会1回目は昨年12月12日、熊本大学近くの公園で行い、約100人の学生が物資を受け取りました。2回目は1月30日に熊本学園大学近くで開催。1回目をはるかに超える370人の学生が来場。3回目も同じ場所で2月21日に開催し、312人が物資を受け取りに来ました。
 来場した学生からは、「何でこんなことしてくれるんですか~」「神様がおりてきた!」と好意的な声が多く、「こういう場所があって久しぶりに友だちに会えた」という学生もいました。そんな中、「私が物資をもらって良いの?」とためらう学生も多くいました。

■ひとりの声が広がった

 物資の配布とともにアンケートも行いました。アンケートから84%がひとり暮らしの学生であり、「バイトが減った」「オンライン授業なのに学費が変わらない」「お金がないけど課題が多くてバイトをする時間がない」「人付き合いがなくなった」との回答が多くありました。中には「収入が減ったから食事を減らしている」という学生もいました。
 結果をもとに2月16日、実行委員会は熊本県へ要望書を提出。学生給付金の拡充や支援制度の情報提供、手続きの簡素化、学費免除に向けた県独自のとりくみと、県として国に学費免除の実施を求めるよう、要望しました。熊本大学、熊本学園大学にも学費免除やサークル再開のためのガイドライン作成、オンライン授業などでの課題や学習の改善を要望。今後、ほかの大学にも要望書を提出する予定です。
 4月末に4回目の食料支援も計画しています。「困っている学生はいろんな場所にいるはず。次は県内でも学費が高い私立大学の近くで開催予定です」と森さん。「民医連のつながりも広げられたら」と考えています。
 森さんは「ひとりの声がここまで広がったことに驚いた。コロナ禍で格差や貧困が顕著に見えた」と言います。熊本民医連事務局長の藤田信一さんは「学生は物資より人とのつながりを求めているように感じた」と話します。「私も誰かの役に立ちたい」とボランティアを希望する学生も増え、第3回配布会では15人ほどの学生がボランティアとして参加しました。

■高齢者の孤立が浮き彫りに

 熊本民医連も動き始めています。2月23日には、他団体と協力してコロナ相談村を開催。事前に団地や地域へチラシを配り、約80人に食料や日用品を配布し、民医連は健康相談や血圧測定などを中心に行いました。
 ひとり暮らしの70代の女性は、2016年の熊本地震で家が全壊。夫と仮設住宅に暮らしていましたが、民間の賃貸住宅を仮設住宅として行政が支援するみなし仮設へ入居しました。夫が病気で亡くなり、ひとり暮らし。近所に知り合いがおらず、孤立している状況でした。自転車で30分かけて相談村を訪れ、コロナ禍で外出もできず、人とのつながりがない不安を訴えました。相談に乗った熊本民医連会長の光永隆丸さんは「地震や豪雨災害でみなし仮設に入居した人たちがバラバラになり、特に高齢者が孤立している。さらに、コロナ禍が孤立に拍車をかけている。相談村から支援につながれば」と話します。熊本民医連の宮本詩子さん(看護師)は、「仕事がなくなったり、パートのシフトが減り、収入も減ったなどの声もあった」と言います。
 今後について「多くの人につながるために、地域や事業所ごとで相談会を行いたい」と光永さん。2回目は友の会を中心に、別の地域での開催を計画しています。

(民医連新聞 第1734号 2021年4月5日)

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