事業所のある風景

2021年5月17日

民医連事業所のある風景 埼玉/熊谷生協病院 地域の医療・看護・福祉と子育てをささえる

当院の概要

 当院は埼玉県熊谷市にある、内科と小児科を標榜する105床の病院です。敷地内に熊谷生協ケアセンター(訪問看護・訪問介護・ケアマネジャー)や小規模多機能型居宅介護施設を併設しています。病棟は地域包括ケア病床40床と一般病床10床、療養病床55床です。外来は内科・小児科があり、小児科外来の隣には熊谷市からの委託事業である病児保育室があります。よりよい地域包括ケアシステムの構築をめざし、在宅医療(訪問診療)に力を入れています。とくに埼玉県北部では数少ない小児在宅医療にとりくみ、脳腫瘍や難病のお子さんが最期まで自宅ですごせるようにお手伝いをしています。

小児から看取りまで

 当院は、1953年に熊谷小児診療所として始まりました。当時としては珍しい小児科単科の診療所として評判となり、多くの患者さんが朝から押しかけ、外来はいつも混雑していたそうです。1960年代後半には患者数の増加に伴い、診療所の規模では地域の要望に応えられなくなり、1973年10月に埼玉県内唯一の小児科単科、55床の熊谷小児病院が開院しました。
 1980年代後半からは小児科だけでなく内科の受診希望が多くなりました。常勤内科医が着任したのをきっかけに、1990年12月「熊谷小児病院」から「熊谷生協病院」に名前を変更しましたが、病床数は55床のままでした。その後の高齢化社会を考えて療養病棟を持つ新たな病院建設が検討され、2000年10月に現在の地に移転新築し、105床(内科一般病床36床、小児科病床14床、療養病床55床)の熊谷生協病院として新たな歴史が始まりました。少子高齢化の時代の流れのなかで、常勤小児科医が減少し、内科が診療の中心となりました。現在では在宅医療にも力を入れており、約200人の在宅患者に看取りまで含めた支援を行っています。

小児を支えるさまざまなとりくみ

①小児在宅医療
 当院の特徴は、小児科において一般小児科外来診療以外に小児在宅医療に力を入れていることです。現在は約10人の小児の訪問診療を行っています。多くの病院から熊谷市近辺在住の紹介を受けて、訪問診療や小児在宅看取りを行っています。
②子育て支援・多世代食堂
 熊谷市が子育てしやすい街、生活しやすい街となるために、医療機関ができることとして子育て支援にとりくんでいます。地域の子育てグループや子育て支援NPOでの小児救急や子育て講演会を実施したり、病院隣の多機能施設で多世代食堂(子ども食堂)を開催したりしています。2020年はコロナ禍で困窮している人たちのために、いろいろな業態・業種と協力してフードパントリーも行ってきました。職員が多世代食堂やフードパントリーにかかわることで、普段通院している患者の違う場面を目の当たりにし、職員を育成する場にもなっています。
③病児保育
 子育て中の医師、看護師、薬剤師、介護士など女性が働きやすい職場づくりにとりくみ、2018年4月からは熊谷市の委託事業を受け、一般市民も利用できる病児保育室「こぐまちゃんち」を開設しました。2019年10月からは、保育園で発熱したときに当院看護師が保育園へ迎えに行く熊谷市委託事業の送迎病児保育も埼玉県で初めて開始しています。

地域の組合員と協力して

 2020年度は全国各地で新型コロナウイルス感染症が流行し、現在も感染拡大は続いています。そんななか、職員および利用者の感染対策の協力で、幸いにも院内における職員の感染者はゼロとなっています。まだまだ収束の目途は立っていませんが、引き続き万全な感染対策のもと、医療・看護・福祉を地域組合員と協力し提供していきたいと思います。

熊谷生協病院 事務長 渡邉史也)

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