民医連新聞

2022年6月21日

憲法カフェ ぷち⑥ 法律で対応できちゃう合区問題

 「合区の解消、なんじゃそりゃ?」って感じですよね。参議院選挙では、全国単位の比例選挙で50人、都道府県単位の選挙区で74人の議員をそれぞれ選ぶと法律で決まっています。憲法上、国民の一票の価値は平等なので、各県から選出する議員の数は人口比例が大原則です。
 しかし、74議席を人口に合わせて配分すると、人口の少ない高知・徳島・鳥取・島根の各県からは1人も選べません。そこで、これら4県では、2県で1つの選挙区(合区)として1人を選出しているのが現状です。自民党改憲案は、これでは地方の声を反映できないとして、人口が少ない県からも少なくとも1人ずつ議員を選べるようにするものです。
 しかし、この考え方は誤りです。そもそも憲法上、国会議員は全国民の代表なので、都道府県単位で選ぶ必然性はありません。なにより国民の『一票の価値』が平等でなくてもいいという改憲は、憲法14条(平等権)に反します。
 合区の問題は、改憲しなくても、議員の総数を増やしたり選挙制度を変えたりすることで対応可能です。にもかかわらず、自民党が合区解消にこだわるのには、人口の少ない地方は自民党支持率の高い地域なので、地方に配分される議席が増えれば自民党が選挙で議席を増やしやすくなる、という思惑があります。このような憲法の私物化を許してはなりません。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1762号 2022年6月20日)

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