民医連新聞

2023年6月6日

憲法カフェ ぷち㉖ 「政治的に公平」って何?

 みなさんが日々目にするニュースなどの放送。戦時中に大本営発表が垂れ流されることで、市民が戦争遂行に協力してしまった反省から、放送は「政治的に公平であること」が法律(放送法4条)で決まっています。
 従来、この「政治的に公平」かどうかの判断は「当該放送局で報じられた番組全体を踏まえる」と解釈されていました。そうでなければ、社会に問題提起するような現状批判的な番組をつくれないからです。
 ところが安倍政権のもと、ある報道番組で政権に批判的な声が多く紹介されたことを契機に、礒崎陽輔首相補佐官(当時)が官僚に解釈の変更を迫ったことが、今年になって明らかになりました。礒崎氏が変更を迫った直後、高市早苗総務相(当時)が国会で、「1つの番組のみ」でも「公平」かどうかを判断できると答弁したのです。権力者による露骨な表現の自由(報道の自由)への介入です。
 安倍政権以降に報道の自由度ランキングが世界22位(2012年)から68位(2023年)まで急落した一因には、このような権力者の露骨な放送への介入が挙げられるでしょう。私たちが、日常不断の努力により権力を監視し続けなければ、権力者に都合の悪いものはどんどん取り締まられてしまうという典型例ですね。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1784号 2023年6月5日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ