民医連新聞

2024年2月6日

こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (4)日本の貧困・飢餓の実態(上)

 いま日本では、新自由主義経済のもとで貧困と格差が拡大し、労働者の実質賃金が低下して、「食べたくても食べられない人びと」が増加しています。民間の食料支援への参加者は増え続け、子ども食堂も増えています。
 内閣府の調査(2021年12月)では、「食料が買えなかった経験がある」との回答は全世帯の11%、低収入世帯38%、母子世帯32%。低所得世帯では「バランスのとれた食事がとれない」との回答が4割、「食材を選んで買う経済的余裕がなくなった」は3割にのぼります。この10年間で、日本の子どもの6人に1人が1日3食を食べられず、コロナ禍前は6014カ所だった民間の子ども食堂が、23年は9131カ所に増えました。
 22年の食料・農業・農村基本法の検証部会では、全国フードバンク推進協議会代表が発言。「欧米では、平時の食料安全保障対策として、政府が買い上げた余剰農産物をフードバンクを介して経済的な困難を抱える世帯に供給する施策が実施されており、これは農家への支援とも両立している」とのべ、政府の対策強化を訴えました。
 21年6月に公表された消費者庁の調査で、アメリカやフランスに比べて、極めて貧弱な日本の食料支援策が浮き彫りになりました()。フードバンクへの食品の寄付量はアメリカの739万トンに対し、日本は2850トンで、わずか0・4%にすぎません。
 アメリカ、フランスでは、フードバンクが集める食品のうち、約3割が政府の提供によるものです。両国と日本の決定的な違いは、公的支援の有無であり、公的支援を伴う恒久的な食料支援制度がないのは日本だけです。
 私たち農民連は、米価暴落が問題になった21年に「政府が余剰米を緊急に買い入れ、食料支援に回せ」と要求しましたが、当時の菅政権は「米の備蓄制度の趣旨に反するから断固できない」と拒否し、「食育」用に微々たる数量を子ども食堂・宅食用に「交付」しています。その結果、22年度に備蓄米91万トンのうち、支援に回ったのは168トンで0・018%と“すずめの涙”程度にすぎませんでした。
 いま農民連は「安全・安心な食料を子どもたちに」と、学校給食の無償化・地場産化・有機化の運動をすすめています。


かつまた まさし
農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。

(民医連新聞 第1799号 2024年2月5日号)

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