いつでも元気
2010年12月1日
くすりの話 129 「グルコサミン」とは何ですか?
Q:「グルコサミン」は、どんな効き目があるの?
A:「ひざ痛に効く」などと宣伝されているグルコサミンは、アミノ糖の一種です。
関節の軟骨は、ムコ多糖類という、ねばねばした物質でつくられています。グルコサミンは人の体内で合成され、ムコ多糖の構成成分となります。この合成能 力は老化で衰えていきますが、グルコサミンを補給することで、軟骨の磨り減りを抑え、関節の動きを滑らかくし、関節痛を改善する効果があるのではないかと 期待されています。
海外でおこなわれた複数の臨床試験でも有効性が示唆されています。しかし、販売業者がスポンサーになっているなどの理由から、結果の信ぴょう性を問う指摘もあります。
これとは別に、アメリカの国立衛生研究所が変形性膝関節症の臨床研究をおこなっています。グルコサミン単独で服用した場合と、コンドロイチン(ムコ多糖 の一種)と併用した場合の効果を、有効成分の入っていない偽薬を服用した人たちとの間で比較。24週間服用してもらい、痛みの軽減効果を調べました。また 24カ月間服用した後、軟骨の磨り減り具合も調査。いずれの結果も、単独・併用、偽薬との間に差はありませんでした。
Q:副作用、注意点は?
A:グルコサミンはもともと体内にあるものなので、適切に用い れば安全性が高いようです。副作用は軽い胃腸症状(お腹の張り、腸にガスがたまる、痙攣、便秘、胸やけ)などが報告されています。カニやエビの殻に含まれ るキチンを使ったグルコサミン製品の場合、これらにアレルギーのある人は避けた方がよいでしょう。
糖尿病の人が使用する場合は血糖値の変化に注意が必要です。中性脂肪やコレステロール、血圧を上げる可能性もあります。また血液が固まるのを防ぐ薬(ワ ルファリン)の作用を強めたという報告もあります。ワルファリンを服用している人はもちろん、治療中の病気がある人はグルコサミンを使う前に医師や薬剤師 にご相談ください。
Q:サプリメント・健康食品の正しい選び方は?
A:以下の表示や広告をよく確認しましょう。
(1)製造者や販売者などの名称や原材料名の表示はあるか、(2)お客様相談窓口などの連絡先が記載されているか、(3)栄養成分やその他の成分量が表 示されているか、(4)適切な摂取方法や摂取量、注意点など必要な情報が記載されているか、(5)安全性や品質について「食品だから安全」といった不適切 な説明をしていないか、(6)表示や広告の内容は科学的な根拠に基づいているか。
「効果があった人がいる」「有名人が推奨」といった説明だけでは、科学的な根拠とはいえません。迷ったら、医師や薬剤師に相談しましょう。
いつでも元気 2010.12 No.230
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