くすりの話

2012年3月1日

くすりの話 143 抗うつ剤「SSRI」

Q:SSRIとは何ですか?

A:「選択的(Selective)、セロトニン (Serotonin)、再取り込み(Re-uptake)、阻害剤(Inhibitor)」のことで、「うつ」や「強迫性障害」などの精神疾患治療に用 いられ、近年急速に普及した薬です。セロトニンとは脳内の神経伝達物質のひとつで、脳内の神経細胞や腸でつくられます。 
 興奮やストレスなどによって神経の活動が活発になると、セロトニンが放出され生産が間に合わなくなります。不足を補おうとして、一度放出したセロトニン を再び同じ神経細胞が回収してしまいます。神経間隙(神経細胞どうしの結合部にあるすきま)のセロトニンが不足すると精神のバランスが崩れ、うつ病など、 さまざまな症状をひき起こすという、セロトニン仮説がとなえられています。これを抑えるためにセロトニンの「再取り込み」を防ぐのがSSRIです。

Q:これまでの抗うつ薬との違いは?

genki245_05_01A:古くから使用されている抗うつ薬は、副作用(口の渇きや便秘、排尿困難など)が高い頻度で起こりますが、SSRIではこのような副作用は起こりにくくなっ ています。一方で、SSRIによって逆に自殺をはかる率が高まる疑いがあるとされ、2011年1月まで18歳未満のうつ病患者への投与が一時禁止されてい ました。
 うつ病の最も重要な治療目的は自殺を防ぐことですが、警察庁のデータでは年間の自殺者が3万人を超える状況が13年も続いています。このデータによる と、うつ病で自殺した人は2007年には6060人、2008年には6490人、2009年には6949人と増え続けています。
 SSRIの使用量が増えているにもかかわらず、うつ病による自殺が減っていない理由に、今日すすんだ核家族化、経済状況もさることながら、従来の抗うつ 薬よりも効果の面で劣ることも十分に考えられます。「もともとうつ病に関しては効果がないのではないか」との指摘もあります。「SSRIを使ってセロトニ ンの不足を抑えれば、うつが改善する」という前提を疑問視する専門家もいます。

Q:服用しても大丈夫ですか?

A:「副作用が怖いから」といって、現在SSRIを服用されている方 が急に服用を止めると、頭痛や吐き気、不安感などの症状が現れることがあります。精神科を受診されている方であれば、抗うつ薬は専門的立場から処方されて いるので、心配なことがあれば主治医に相談しましょう。精神科以外の診療科で処方されているのであれば、一度、精神科医の診察を受けてみてはいかがでしょ うか。
 うつ病は薬だけで治癒するものではありません。何よりも十分な休息と、ストレスの多い社会で生きていくために必要な自信を取り戻すことが必要です。その ためにリハビリ(認知行動療法や、さまざまな経験を通して自信をつける)などをおこない、家族や職場、地域の仲間の協力もえながら生活環境や今の生きづら い社会を変えることが大切です。

いつでも元気 2012.3 No.245

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