Dr.小池の世直し奮戦記

2012年7月1日

Dr.小池の世直し奮戦記 龍馬も怒る?「維新八策」 民主主義を守る共同こそ

 「二大政党」が行きづまる中、マスコミがもてはやすのが橋下徹・大阪市長と「大阪維新の会」。しかし会の政策集「維新八策」を見ると、ねらいが浮き彫りになります。

小泉「改革」顔負けの新自由主義

 特徴の一つが、過激な新自由主義(市場原理主義)です。「自立する個人」が必要だと言い、何でも自己責任にしてしまいます。
 「使い捨て雇用」は放置し、くらしを支える福祉制度も敵視。実際、大阪市では敬老パス有料化など、住民サービスに大なたをふるおうとしています。「自立する地域」の名で、地方財政を支える地方交付税も廃止です。
 一方、「自立する国家」と言いながら、日米同盟は堅持、TPPには参加。「自立」どころか、アメリカ「言いなり」です。

自由にものも言えない社会に

 橋下氏は「日本を悪くしたのはすべて九条」「がれき処理が遅れたのも九条のせい」などと憲法九条を攻撃。大阪府下では学校の卒業式できちんと「君が代」を歌っているか、教師の口元チェックまで始めました。
 “三毛猫ホームズ”で有名な作家・赤川次郎氏のある新聞への投書は、こんな皮肉な書き出しで始まります。
 「大阪の橋下徹市長は大阪府立和泉高校の管理職をなぜ処分しないのだろう? 教師の口元チェックをしながら、姿勢正しく心をこめて『君が代』を歌えたは ずがないのだから」「それにしても、生徒のためのものであるべき卒業式で、管理職が教師の口元を監視する。何という醜悪な光景だろう」。
 私も本当にそう思います。
 市職員に対する思想調査アンケートも大問題になりました。「街頭演説に誘われたことがあるか」「誘った人は誰か」などと質問。市役所や学校の中で監視・密告を奨励し、市民にまで監視の目を向ける、まさに恐怖政治です。
 橋下氏の公務員批判に、喝さいを送る市民も少なくありません。しかし彼の描く理想の公務員とはどんなものか。橋下氏は大阪市の新入職員の発令式で「公務 員は国民に対して命令する立場」と語り、市議会では「役所は僕の顔色をしっかりうかがって仕事をしろ」と言ってのけたのです。
 公務員は、特定の人間や団体のために動くものではありません。すべての住民のために働く「全体の奉仕者」です。市長の顔色をうかがい、市民には“上から目線”で命令なんて最悪です。

国民を巻き添えにする独裁政治

 極めつけが「決定できる民主主義」。「選挙はある種の白紙委任」だと言い、選挙後は何をやってもいいというのです。
 しかし選挙では、すべての住民が全課題を市長に委ねたわけではありません。議会で議論し、少数意見にも耳を傾けて行政をおこなうのが首長の役目です。
 橋下氏は坂本龍馬の「船中八策」になぞらえて維新八策をつくったそうですが、龍馬の船中八策は、徳川幕府の専制政治を打ち破り、議会を置き、「万機よろ しく公議に決すべき」、つまり何でも議論で決めようとしたのです。龍馬が維新八策を読んだら、間違いなく「許さんぜよ!」と怒るでしょう。
 先ほどの赤川氏はこう投書を結びます。「過去に学ぶ謙虚さを持ち合わせない人間に未来を託するのは、地図もガイドもなく初めての山に登るのと同じ。一つ違うのは、遭難するとき、他のすべての人を道連れにするということである」。
 危険でゆがんだ社会に、道連れにされるのはまっぴらごめんです。民主主義を守る共同を広げましょう。

いつでも元気 2012.7 No.249

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