くすりの話
2016年2月29日
くすりの話 187 漢方薬とは
Q:漢方薬と他の薬の違いを教えてください
A:漢方薬は、「生薬」という薬として効果がある植物や動物、鉱物を組み合わせて作られたものです。さまざまな有効成分が含まれているので、一つの漢方薬でもいろいろな症状に効果があります。
一方、病院で処方される他の薬(西洋薬)は一つの有効成分で作られているものが多く、痛みを抑える、血圧を下げるなど特定の病気や症状に効果を発揮します。
また西洋薬は同じ病気や症状には同じ薬が使われますが、漢方薬は患者さんの体質・体型・抵抗力・自覚症状などを判断しながら、その人に合ったものが処方されます。異なった症状でも、体質などによっては同じ漢方薬が用いられる場合があります。
Q:漢方薬が西洋薬より優れている点はありますか?
A:どちらかがより優れているということはありません。
例えば、骨折をして強い痛みがある患者さんに、体質改善をしながら緩やかに痛みを和らげる漢方薬を投与するのは、あまり適切ではありません。しっかりと痛みを抑える鎮痛薬を投与するほうが良いでしょう。一方、慢性的な肩こりに悩む患者さんには、原因となっている体質の改善を促す漢方薬を使うと効果的な場合もあるでしょう。
医師は現在の病気や症状に対して、生活の質を高めることができるより適切な薬を選びます。どちらも安心してお使いください。
Q:漢方薬にも飲み合わせの注意や副作用はあるのですか?
A:天然由来のものなので体にやさしいと思われている漢方薬ですが、飲み合わせの注意や副作用は西洋薬と同じようにあります。
例えば、生姜はたくさん食べると体が火照ることがあります。これも立派な副作用です。このような過剰摂取や、体質に合わないことが原因となって、漢方薬でも副作用が起こる可能性もあります。症状は食欲低下や発熱、じんましん、むくみなどさまざまです。
重大な副作用としては、C型肝炎の治療などに用いられるインターフェロンと漢方薬の小柴胡湯との併用で、間質性肺炎を引き起こし死亡した例も報告されています。また甘草を含む漢方薬の服用により高血圧やむくみ、低カリウム血症が進行してしまい、重い不整脈などの心疾患を招くこともあります。
漢方薬も薬です。服用する際には医師・薬剤師とよく相談をしたうえで指示を守ってください。不明や不安な点がありましたら、すぐに医師・薬剤師にご相談ください。
いつでも元気 2016.3 No.293
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