くすりの話

2001年7月1日

くすりの話 49 古くからの薬の副作用(1) 鎮痛剤

Q:愛用していた鎮痛剤が処方できないといわれたのですが、なぜですか?

A:その薬は「セデスG」あるいは「サリドン錠」、「サリイタミン」ではありませんか? これらは、以前から頭痛や歯痛などの鎮痛剤として使われてきた薬で、フェナセチンやピリン剤、鎮静剤、カフェインなどの成分が配合されたものです。
今回問題になったのはフェナセチンで、昨年11月からことしの3月までに、この成分が入った薬を長期に渡って大量服用し、重い腎障害を起こしたという報告が5例も相次ぎました。
フェナセチンは腎障害がおこるため、1982年にはすでに大衆薬には配合できなくなっています。
しかし出荷量は、この10年間で1.4倍にふえており、厚生労働省は「医師の処方でも副作用があらわれている可能性もある」として、被害の拡大を防ぐために供給停止を決めたのです。

Q:頭痛持ちで鎮痛剤は手放せないのですが…。

A:フェナセチンをはじめとする解熱鎮痛剤には、腎障害の副作用(フェナセチン腎症あるいは鎮痛剤腎症と呼ばれる)があることが以前から知られ、注意が促され ていました。長年にわたって服用し続けると、腎臓の血管の収縮で血流が悪くなり、尿量の減少や腎炎をひきおこすのです。また、フェナセチンの発がん性も認 められています。
このような副作用はありますが、鎮痛剤を手放せない慢性頭痛の患者さんも多いのは確かです。
しかし、鎮痛剤を飲み続けていると、かえって慢性頭痛をひきおこし、ますます薬がやめられなくなります。そのほかに配合されているカフェインに、頭をすっ きりさせる作用があるため、連用(続けて服用)する原因にもなっています。
「セデスG」などが供給停止と聞いて、「頭痛薬、どうしようかしら」と不安な方もいらっしゃるかもしれません。
急に服用をやめると頭痛がかえって悪化したり、不安感や不眠をひきおこすことがあります(離脱症状)。飲む回数を徐々に減らして、飲まない期間を続けるこ とによって、慢性頭痛は軽減し、やがて治まると言われています。
代わりの薬としてすすめられる鎮痛剤は、アセトアミノフェンです。胃や腎臓での作用が弱いため、副作用がもっとも少ない解熱鎮痛剤です。ただし、大量に飲むと肝臓に障害が現れます。
市販の「セデス」などは、1982年以降フェナセチンの成分では販売されておらず、アセトアミノフェンに変更されています。  これを機会に、薬の副作用をあらためて認識し、鎮痛剤の連用をやめてみてはいかがでしょうか。

いつでも元気 2001.7 No.117

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ