いつでも元気

2017年6月8日

新ほっと介護 着替えの介助

全日本民医連介護職委員会委員/愛知・名南会 後藤正美

衣服を着替えることは清潔を保つだけでなく、
生活リズムを整えたり気分転換にもなります。
今回は衣服の選び方や着替えの介助について紹介します。

 「病は気から」とよく言われますが、着替えをするだけでも心地よい気持ちになり、同時に病気も早く回復すると考えられています。
 日常生活の中でも、朝起きてパジャマから普段着に着替え、就寝前にはまたパジャマに着替えることで、1日の生活リズムを整えることができます。休みの日に自宅でゆっくりと過ごすとしても、生活のメリハリや気分転換を図る一環として着替えを習慣化することは、とても重要です。
 要介護者がお風呂に入った時や服が汚れた時にはその都度着替えをし、常に清潔な服を身に着けられるようにしましょう。着替えの介助をする時には、カーテンを閉めるなどプライバシーに気を配りましょう。

衣服を選ぶ

 衣服を選ぶ際には、まず何より着る人の好みを尊重しましょう。そのうえで、デザインや形、介護者の身体状況を考慮した衣服を選択します。袖口や足首が締まっていると着脱が難しくなるので、袖口は緩いものが良いでしょう。
 高齢になって白内障などの症状がある方は視野全体がくすんで黄色く見えるため、見分けやすい衣服を選びましょう。赤やピンクなどの色は見やすいので、購入の際には気にしてみてください。
 直接肌に触れる肌着は素材にも気を付けたいものです。吸収性や保温性に優れ、通気性や肌触りが良いものが適しています。汚れが分かりやすい色で、洗濯しても型崩れしない伸縮性のある素材が望ましいと思います。木綿製品のガーゼやタオル地、フランネル、メリヤスなどが良く使用されます。
 麻痺があっても自分で脱ぎ着ができる方は、かけ外しが簡単な大きいボタンやマジックテープ式の服、袖やズボンにファスナーが付いているタイプがおすすめです。袖口やズボンの上部に取っ手を付けると衣服の上げ下げが楽になります(図1)。
 ベッドの上で過ごすことが多い方は、寝たままでも着替えがしやすい前開きの衣服や浴衣のようなものがいいでしょう。衣服のしわは褥瘡(床ずれ)の原因になります。着替えの際には皮膚の状態を観察するとともに、背中~お尻のマッサージを行うなど褥瘡予防にも心がけてください。

介助方法

 片麻痺(左右一方の上下肢に麻痺がある状態)や認知症の症状があって自分で着替えることが難しい方にも、なるべくご自分で着替えをしてもらうようにしましょう。「上着だけは自分で着る」など目標を決めて毎日繰り返すことで、介護者の生活能力の向上につながります。
 着替えの途中で着替え方が分からなくなって止まっている場合は、さりげなく声をかけて次の動作が行えるように介助します。時間がかかってもせかさず見守ってください。
 着替えの介助方法は、寝たきりか麻痺があるかなど要介護者の状況によって変わるので、ヘルパーやケアマネジャーなどの介護職員に相談してみましょう。今回は一例として、片麻痺の方がいすに座って着替える方法を紹介します(図2)。
 片麻痺があるときは、原則として健側(麻痺のない側)から脱ぎます。着る時は麻痺のある側から健側の順番に行います。この順番を「脱健着患」と言い、麻痺がある側をあまり動かさずに着替えることができるので試してみてください。

いつでも元気 2017.6 No.308

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