くすりの話

2017年11月30日

くすりの話 のどスプレー

回答/新中信行(倉敷健康企画・薬剤師)
監修/高田満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 冬場になると、コマーシャルで目にする機会が増える「のどスプレー」。さまざまな種類がありますが、どのような薬なのか、使い方や気をつける点についてお話しします。

●どんな薬ですか?

 市販ののどスプレーには、喉の消毒(殺菌作用)と炎症を抑える(抗炎症作用)の2種類があり、両方の成分を含有するスプレーもあります。使い方はいずれも1日数回、直接患部に噴射します。代表的な殺菌作用のあるものはヨウ素が入っている薬剤です。抗炎症作用のあるものはアズレン系と言われます。
 風邪の80~90%はウイルスが原因です。殺菌作用のあるのどスプレーは、水に薄めて使う医療用うがい薬(ポピドンヨードガーグル)とほぼ同じ効果を発揮し、殺菌します。ヨウ素にアレルギーがある方は使用できませんので、気を付けてください。また症状の緩和には役立ちますが、かかっている病気自体の治療効果は実証されていません。
 5~6日使用しても症状が良くならない場合は使用を中止し、医療機関を受診してください。

●医療用うがい薬との違いは?

 医療用うがい薬にも、殺菌作用と抗炎症作用の2種類があります。殺菌作用のあるのどスプレーとの違いはヨウ素の濃度です。医療用うがい薬の濃度は0.02%~0.05%ですが、のどスプレーは0.5%と約10倍です。 
 消毒液としてのウイルスや細菌への殺菌効果は、ヨウ素入りの医療用うがい薬より10倍の高濃度で強力です。しかし正常な粘膜細胞を傷めてしまう可能性もあり、指定された用法以上の頻回の使用は避けましょう。

●トローチと併用してもいいですか?

 喉に痛みがある場合、のどスプレーとトローチを併用する方もいらっしゃるでしょう。
 トローチにも種類がいくつかあります。どれも口の中の細菌や真菌を減らす成分が入っています。ただし、ウイルスには効果がありません。
 ヨウ素が入っているのどスプレーとトローチを併用しても、体に問題はありません。しかし、殺菌効果を比較するとトローチの効果はかなり弱いので、のどスプレーだけで十分です。
 また、炎症を抑えるのどスプレーのなかには、トローチに使われている成分と同じ成分のものがあります。これらは併用しても意味がありませんので、購入の際には、注意が必要です。分からないときは、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

●取り扱いには注意を

 ヨウ素系のどスプレーや医療用うがい薬に含まれているヨウ素は、強力な成分です。たとえば濃度100%のヨウ素が皮膚に付くと傷つき、目に入ると失明する恐れがあります。取り扱いには注意し、皮膚に付いたり目に入った時はすぐに洗い流しましょう。
 風邪の予防には「医療用うがい薬よりも、緑茶や水道水によるうがいの方が効果が高い」という調査もあります。風邪の予防には、緑茶や水道水でのうがいと手洗いを基本にしましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2017.12 No.314

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