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2018年4月30日

特集 守りたい9条 
楽しいから広がる 薬局が署名活動

文・ 井口誠二(編集部) 写真・野田雅也 

 

 青森県弘前市を中心に6つの薬局を展開する薬局法人「株式会社ファルマ」では、全ての事業所で3000万署名を訴える趣向を凝らした署名宣伝コーナーを設置。
 月1回は街頭でハンドマイク宣伝をしているほか、毎週金曜日には署名を訴えるスタンディング行動もしています。

 3月8日午後4時の弘前市は気温0℃前後。背後に雪原を控えた道路に並ぶのは、5人の“ファルマレンジャー”と揃いのコートを羽織った8人の職員たち。毎週金曜日、「ファルマ」の各薬局前で行われるスタンディングです。
 この日はファルマ弘前薬局の前に5人のレンジャーが勢揃い。声を上げないサイレントスタンディングですが、特撮ヒーローたちが「憲法守れ」と書かれたプラカードや、「3000万署名」を呼びかける横断幕を掲げる姿は雄弁そのもの。道行く車は視線を投げ、薬局横の健生病院から手を振る患者さんもいます。

注目されるように

 レンジャーに扮するのは各薬局の若手職員です。「せっかく街頭に立つんだし、注目されなきゃ」と、リーダーで“モモ色”の須藤江利加さん(31)。「特撮ヒーローが社保宣伝」という新聞記事を見て「やってみよう」と思い立ったのがコスプレ・スタンディングの始まり。須藤さんの活動が社内ニュースに載ると、「やってみたい」と次々に“同志”が増えました。
 「レンジャーの格好をすると、車も歩行者もすごく注目してくれるし、やっている自分も楽しい。顔が出ないのもいいですね」と須藤さん。勤務する一ツ谷薬局前(五所川原市)のスタンディングでは、揃いの犬耳を付けてのアピールもしています。
 「やっているうちにヒーローの自覚も芽生えるんですよ」と笑う佐々木良太さん(27)は、弘前調剤センターの職員。平和の活動だけでなく地域の人が集う健康教室でも“ブルー”として登場し、「あなたのファンなの」と声をかけられることもあるそうです。

あらゆる所で宣伝を

 3000万署名の取り組みは薬局の中でも。ファルマ弘前薬局の待合室のテレビでは憲法学習DVDが流れ、壁には署名を求める掲示、机は“宣伝グッズギャラリー”状態です。
 事務長の工藤敏子さんは「全部職員が考えてやっているんですよ」と目を細めます。視線の先には患者さんの隣に腰掛け、署名をお願いしている事務職員の姿がありました。
 署名を取っていた鈴木菜夏さん(25)は「憲法9条を変えるのは本当に大変なことだと思うから、できるだけ待合室に出て署名をお願いしています」と話します。

ファルマ本部の受付カウンター。
訪れる人みんなに署名をすすめています

土台を作るのは教育

 スタンディングでも待合室でも、若手職員が生き生きと活動している姿が印象的でした。なぜ、こんなに明るく前向きに活動できるのでしょう。
 「日頃の小さな教育の積み重ねかな」と話すのは、ファルマ取締役の崎野修さん。「私たちは民医連の薬局。『職員に民医連運動を理解してもらいたい』という思いを共有する各職場長が、工夫しながら教育に時間と力を割いてくれるおかげです」と言います。
 学習の時間は朝会や職場会議に限らず、日中ちょっと手が空いた時にも新聞の読み合わせなどをしています。
 「あと大切なのは、楽しくやること」と本部事務長の舘田総子さん。「私たちの訴える内容は難しく、怒りが伴うものもある。それでも楽しくやることで、見る人にも注目されるし聞いてもらえる。そして、自然にやってみたくなる。いっそ『ふざけてる』って思われるくらい笑って楽しく、おかしく活動しているんです」と笑います。
 本部勤務で“イエロー”の阿部由希子さん(34)は「入職した頃は関心が無かったけど、みんなで学ぶうちに自然に巻き込まれていた。今は事務も薬剤師も、みんなで楽しく活動できることが日々の力になる。小さな力でも、何かを変えていきたいんです」と強い眼差しで語りました。

いつでも元気 2018.5 No.319

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