くすりの話

2020年4月30日

くすりの話 
薬の値段はどう決まる?

執筆/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えします。
 今回は薬の値段についてです。

 医療機関を受診した際にもらう薬の値段は「薬価」と呼ばれ、国が決める公定価格です。
 薬価の決め方には、大きく分けて2つの方式があります。まず、同じ疾患に対して似た効果を持つ類似薬がある場合は、その薬価を基準にして決めます。これを「類似薬効比較方式」と呼びます。
 問題は、過去に発売された医薬品の中に類似薬がない時です。この場合は、新薬の製造原価、販売費(販売促進費用、宣伝費用)、一般管理費(研究開発費など)、営業利益、流通経費、消費税を製薬会社のデータをもとに積み上げて薬価とします。これを「原価計算方式」と呼びます。
 今は類似薬効比較方式で決められている医薬品の薬価も、元をたどれば(類似薬がまったくなかった時代の)原価計算方式にたどりつきます。

原価計算方式の問題点

 原価計算方式の場合、薬価の6割は販売費、一般管理費、営業利益の3つが占めます。製薬業界で平均的にかかる費用が一律に薬価に組み込まれます。
 原価計算方式に対しては、そもそも製薬会社が提示する製造原価が適正なのかという疑問があります。さらに6割を占める3つの費用について、業界平均を一律に組み込むことが適切なのかが問題になります。
 薬価を審査するプロセスも不透明です。製薬会社の申請した薬価を審査する「薬価算定組織」は、厚生労働大臣の諮問機関「中央社会保険医療協議会」の下部組織。会議は非公開で議事録もなく、製薬会社が申請した薬価の根拠となるデータも公開されていません。
 「薬価算定組織」の委員名が情報公開請求によって判明し、それらの委員が製薬会社から講師料やコンサルタント料などの名目で金銭を受け取っていたことも明らかになりました。
 新薬の薬価は製薬会社の利益に直結するとともに、保険財政や国民の負担にも影響を与えます。薬価の決め方には、高い透明性と公平性が求められます。また、新薬の薬価を高値で維持する「新薬創出加算」などの過度な優遇は廃止すべきです。

ジェネリック医薬品について

 新薬の特許期間(20~25年間)が切れた後に発売される、同じ成分の薬を「後発医薬品」(ジェネリック医薬品)といいます。新薬のような研究開発費がほとんどかからないため、先発品の薬価の50%(10社以上から販売されている場合は40%)からスタートします。さらに薬価改定のたびに価格が下がります。患者さんの窓口負担は、新薬よりだいぶ軽くなります。
 ジェネリック医薬品の活用が進んでいますが、それを選択するかどうかは患者さん本人の意志が尊重されるべきです。遠慮なく医師や薬剤師にご相談ください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2020.5 No.343

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ