事業所のある風景

2021年6月15日

民医連事業所のある風景 民医連事業所のある風景 東京/西荻窪診療所 創立72年 住み慣れた街で最期を過ごす ~よりそう、何でも相談できる、かかりつけ診療所をめざして!!~

 西荻窪は東京23区の西の端、住みたい町ランキングで常にトップとなる吉祥寺のお隣にある、静かな住宅街です。のどかな農村だった西荻窪は、大正時代の区画整理や開発に加え、関東大震災後の都心部からの移住者増加により、発展していきました。都会らしいにぎわいと、郊外らしいゆとり、そんな狭間の街です。
 杉並区の後期高齢者割合(65歳以上の高齢者人口に占める75歳以上の人口)は55.1%と、東京都平均54.2%より高く、平均寿命は、男性.81.9歳(全国平均より+2.3歳)、女性は88.2歳(全国平均より+1.8歳)です。西荻窪診療所のレセプト件数は500件。うち、後期高齢者保険は250件。そのうち3割負担の方は40件(16%)で、ご夫婦やご家族と来院される方も多いように感じます。

家族の悲しみ、喪失感に寄り添う

 訪問診療の管理数は80件。年間看取り数は10件を超えています。
 同じ目標に向かってがんばっていても、訪問診療にかかわるチームのメンバーは、それぞれ違った感じ方や考え方を持っています。チームとしての力量を考える時、みんなが違っていた方が、幅がある柔軟な対応ができると思います。ひとりでは、すべてに対応することはできませんが、チームでは誰かが対応できるのではないでしょうか? 患者さんや家族のことを受け止めるのと同じように、チームのメンバー同士がそれぞれを受け止め合い、知恵を出し合えるチームづくりが大切だと思います。これは、在宅プロジェクトのリーダーでもある、当診療所の澤田玲所長の言葉です。
 西荻窪診療所の2階では、通所リハビリを行っています。同じ建物の中には、地域包括支援センターケア24西荻、訪問看護ステーション、西荻在宅ケアセンターがあります。毎日の朝会では、この3つの事業所と薬局の職責者が集まり、訪問診療の報告、患者さんの状況、サービスの利用、今後の方向性などの情報を短時間で共有しています。

無料の集団検診で “外に出る” 活動

 1951年当時の西荻窪診療所は、“外に出る”活動を大きく展開していました。その中心は結核の集団検診でした。地域の人が寄付してくれた自転車に乗り、各地域に出かけました。
 無料で健診や診療をしていたので、給料は3カ月間出ませんでした。「奉仕、医療とはそういうものだと思っていたから不満はなかった。けど、布団まで質屋に入れたのよ」とは、初代看護師の峯尾フクジさんの言葉です。この間、『学習ブックレット 民医連の綱領と歴史』を1年かけて読み合わせをしてきました。最初から「絶対、民医連がいい!」という熱い思いで入職してきた人ばかりではありませんが、読み合わせがすすむごとに、患者さんから連絡があれば、すぐに見に行く姿勢が引き継がれていることを実感し、「いつの間にか、どっぷり民医連にはまっていたね」とみんなで笑い合いました。

またかかりたい診療所になろう

 毎週金曜日に医師、看護師、事務で外来カンファレンスを行っています。患者さんとのかかわり方、安心して帰れる、友達になる、どんなふうにしたらもう一度来てもらえるか、否定しないでほめる、診療所としての力量を上げることなど、前向きな意見が出されています。

西荻窪診療所 事務長 渡邉里子)

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