くすりの話

2022年2月28日

くすりの話 
血圧を下げる薬

執筆/鈴木 康崇(北海道・勤医協中央病院・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に薬剤師がお答えします。
 今回は血圧を下げる薬についてです。

 そもそも血圧とは何でしょうか? 血圧とは心臓から体全体へ血液を押し出すときに、血管の壁を押す圧力のことです。血圧の値は心臓から送り出される血液の量と、血管内での血液の流れにくさによって決まります。
 血管の中を流れる血液の量が多くなる場合や、血管が細く収縮する場合に血圧は高くなります。血圧を下げる薬(降圧薬)について、3つに分けて解説します。

① 血液の量を減らす薬

 過剰に貯まった水分を体から出せば、血液の中の水分を減らすことができます。血液の量が減れば、血圧は下がります。
 体から余分な水分を排泄させる薬として、利尿剤があります。作用が強すぎると脱水を起こす場合があるため、適量の水分を摂取します。また、ミネラル分のバランス異常を起こす副作用もあるので注意してください。

② 血管の収縮を抑える薬

 体内で血管を収縮させる情報の伝達に、カルシウムイオンという物質が関わっています。このカルシウムイオンの邪魔をして、血管の収縮を抑える薬がカルシウム拮抗薬です。
 この薬はグレープフルーツと一緒に摂取すると、薬の効果が強く出すぎて、頭痛やめまいなどを起こすことがあります。グレープフルーツの作用は2?3日続く場合もあるので、摂取は一切避けたほうがいいでしょう。

③ 体内の調整システムに働きかける薬

 体内には血液の量や血管の収縮を調整するシステムがあります。体内でアンギオテンシンという物質が出ると、血管を収縮させ体液量を増やすため血圧が上がります。このアンギオテンシンを調節して血圧を下げる薬が2つあります。
 1つはARB(アンギオテンシン受容体拮抗薬)で、アンギオテンシンが体に作用するのを邪魔する薬です。腎臓への障害やカリウム値の上昇などの副作用が発生する場合があります。
 もう1つはACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)で、アンギオテンシンを作らせないようにする薬です。ARBと同様の副作用のほか、喉の違和感から出る持続性の咳(空咳)にも注意が必要です。

まとめ

 1種類の薬で効果がない場合は、数種類を組み合わせて服用します。血圧の薬は、正しい生活習慣とセットで効果を発揮します。薬を飲んでいても、塩分制限や運動習慣は続けましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2022.3 No.364

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