くすりの話

2022年1月31日

くすりの話 
かかりつけ薬剤師

執筆/古賀 雄一郎(広島・ひまわり薬局本店・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に薬剤師がお答えします。
 今回は「かかりつけ薬剤師」についてです。

 みなさんは「かかりつけ薬剤師」をご存知でしょうか? かかりつけ薬剤師は薬や健康、介護などに関する豊富な知識と経験を持ち、患者さんの相談に応じたり健康管理をサポートする役割を担います。
 かかりつけ薬剤師の制度ができた背景の1つに「2025年問題」があります。2025年には団塊世代が後期高齢者となり、超高齢社会を迎えます。地域全体で高齢者を支える地域包括ケアシステムにおいて、薬局にも地域密着型の機能が求められるようになりました。
 かかりつけ薬剤師の制度は、2016年度から導入されました。18年度の調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」や「かかりつけ薬剤師包括管理料」の点数が引き上げられ、活用が促進されました。

3つの機能

 かかりつけ薬剤師の機能は3つあります。
 1つ目はひとりの薬剤師が、患者さんの服薬状況を継続して管理する機能です。処方薬や市販薬など、患者さんが使用している薬の情報をまとめて把握し、薬の重複や飲み合わせのほか、薬が効いているか、副作用がないかなどを継続的に確認します。複数のお薬手帳をお持ちの方には、1冊に集約していただくよう提案します。
 2つ目は、患者さんへの24時間対応や在宅医療を担う機能です。休日や夜間など薬局の開局時間以外でも、電話で薬の使い方や副作用など、お薬に関する相談に応じます。また必要に応じて、休日や夜間でも処方せんに基づいてお薬をお渡しします。外出が難しい患者さんの家に伺って、お薬の説明をしたり、残薬(手元に残っている薬)の確認もします。
 3つ目は、処方医や医療機関と連携する機能です。処方内容を確認し、必要に応じて医師へ問い合わせたり提案をします。患者さんに薬を渡した後も状態を見守り、それを処方医に伝えます。お薬だけでなく、広く健康に関する相談にも応じ、場合によっては医療機関への受診をお勧めすることもあります。また、地域の医療機関とも連携し、チームで患者さんを支える関係を日頃からつくっています。
 患者さんはかかりつけ薬剤師を誰にするか指名することができます。私は現在の薬局で1年ほど前からかかりつけ薬剤師をしています。地域の方から信頼されるかかりつけ薬剤師になれるよう、日々研鑽に励んでいきたいと思っています。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2022.2 No.363

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