くすりの話

2022年9月30日

くすりの話 
薬の副作用

執筆/西田 哲朗(兵庫・東神戸病院・薬剤師)
監修/金田 早苗(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に薬剤師がお答えします。
 今回は薬の副作用についてです。

 薬には「主作用」と「副作用」があります。
病気やけがを治したり症状を軽くする作用を主作用といい、その他に生じてしまう望ましくない作用を副作用と言います。
 例えば、「花粉症の薬を飲んだら、鼻水は止まったけれど眠くなった」「解熱剤を飲んだら、熱は下がったけれど皮膚に赤みが出てしまった」など、症状を改善する以外の作用が副作用にあたります。
 副作用が起こる原因はさまざまですが、(1)薬の性質によるもの、(2)薬の使い方によるもの、(3)服用した人の体質や体調によるもの、に大きく分けられます。
 (1)は治療の目的と違う部位で薬が作用して起こる場合です。(2)には飲む時間や間隔、量を間違えることで起こるものがあります。また、食べ物や他の薬との組み合わせにより副作用が起こることもあります。(3)は服用する人の体質によって、薬の成分がアレルギー反応を引き起こす場合などです。副作用の現れ方には個人差があり、人によっては重い症状が出ることもあります。

◇ あらかじめ理解を

 必要以上に心配することはありませんが、説明書(添付文書)をよく読んで、用法や用量を正しく守ることが副作用を防ぐうえで大切です。分からないことや不安なことがあったら、医師や薬剤師に遠慮なく相談してください。自分や家族が服用する薬の副作用について、あらかじめ理解しておきましょう。
 薬を飲んだ後に体調の変化や気になることがあった場合も、すぐに医師や薬剤師に相談してください。副作用の現れ方によって、「薬の使用をやめる」「様子を見ながら服用を続ける」「薬の量を少なくする」「別の薬を処方する」など、対応が変わります。病気や薬の種類によっては、服用をやめる方がデメリットが大きい場合もあります。

◇ 健康被害の救済制度

 薬は正しく使用しても思わぬ副作用が起こることがあります。説明書に従って正しく使用したにもかかわらず、入院を要するような副作用が起こった場合、医療費や後遺症に対する年金などの給付を受けられます(医薬品副作用被害救済制度)。薬の副作用による健康被害を迅速に救済するための制度で、処方薬か市販薬かは問いません。
 医療関係者だけでなく、一般の方にも知っておいていただきたい制度です。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2022.10 No.371

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