くすりの話

2022年11月30日

くすりの話 
薬の服用方法

執筆/堀 信二(福岡・ふれあいファーマシー北九州・薬剤師)
監修/金田 早苗(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に薬剤師がお答えします。
 今回は薬の服用方法についてです。

Q1:薬を飲むタイミングとして、「食後」のほかに「食前」「食直前」などがあるのはなぜですか。

 「食前」とは食事の30分前のこと。薬の目的や性質によって、食前に服用しなければならないものがあります。
 例えば食欲増進剤は、食べる前に胃の運動を活発化させる効果があります。吐き気を抑える制吐剤は、食べ物が胃の中に長時間残らないようにする目的があり、食前に飲む必要があります。
 漢方薬は食前に飲むことで、食べ物の影響を受けずに腸内細菌によって吸収されやすくなります。また薬草などの独特なにおいが、食事と一緒になって吐き気をもよおすことがあるため、食前が望ましいとされます。
 「食直前」とは食事の5~10分前のこと。食後の急激な血糖の上昇を抑える糖尿病治療薬など、食事と一緒に消化管に入って効果を発揮するものが挙げられます。

Q2:食欲がなくて食べられない時に、薬を飲んでもいいですか。

 解熱鎮痛剤など薬によっては、食事をせずに服用すると胃に大きな負担がかかります。ビスケットなど少量の食べ物を胃に入れてから薬を飲むようにしてください。どうしても無理な時は、多めの水と一緒に服用して胃を保護します。

Q3:「起床時」や「空腹時」に服用するという指示の場合はどうすればいいですか。

 「起床時」(朝食前)の服用を指示されることがあります。食事の影響を受けやすい薬や、胃の中が空の状態でないとほとんど吸収されない薬などです。服用後30分間は水以外はとらないようにしましょう。
 「空腹時」という指示の場合、食事から2時間ほど経った空腹時に服用すれば問題ありません。ただ、食事によっては薬の効果に大きな影響を与えるものもあります。起床時や就寝前など、できるだけ胃の中が空っぽの状態の時に服用しましょう。

Q4:薬をアルコールやコーヒーと一緒に飲んでも大丈夫ですか。

 アルコールやコーヒーの成分により、薬の効果が強く出たり弱くなることがあります。水やお湯以外で薬を飲むのは避けましょう。
 特に睡眠薬は、アルコールと一緒に飲まないようにしてください。晩酌などでお酒を飲んだ場合は、少し時間を空けてから服用しましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2022.12 No.373

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