くすりの話
2023年11月30日
くすりの話 インターネットでの薬の購入
執筆/中村 伸也(鹿児島生協病院、薬剤師)
監修/金田 早苗(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)
読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
今回の質問はインターネットでの薬の購入についてです。
医師の診断と処方箋に基づいて調剤される薬を「医療用医薬品」と呼びます。購入する際には、薬剤師が対面で情報提供や指導を行う義務が定められています。
一方で、医師の処方箋がなくても購入できる薬を「一般用医薬品」と呼びます。2013年の薬事法改正により、「要指導医薬品※1」を除く全ての一般用医薬品がインターネットで購入できるようになりました。一般用医薬品は、副作用の程度などに応じて「第1類」「第2類」「第3類」に分類されます。
インターネットでの購入は手軽で便利かもしれませんが、薬は適切に使用しなければ副作用などのリスクが高まります。そのためインターネットでの薬の購入(販売)には、薬局などの店舗と同様のルールが適用されます。
適切な手順を踏んで
インターネットで薬を販売できるのは、実際の店舗を有する薬局や店舗販売業の許可を受けた業者に限られます。店舗が週30時間以上開店していることや、対面・電話での相談体制を整備していることなどの条件を満たす必要があります。
購入者は薬の注文時に必要な情報を入力し、薬剤師や登録販売者から薬に関する情報提供を受けます。不明な点や相談などがあればやりとりをして、購入者が了解できたところで薬が発送されます。
購入者は服用している薬やアレルギーの有無など、正しい情報をきちんと伝えることが重要です。薬を服用して身体に異常を感じた時はすぐに使用を中止して、相談窓口に連絡しましょう。
インターネット上には、販売許可を得ていない違法なサイトや、安全性が確認されていない海外の医薬品を販売しているサイトなどもあります。また、医薬品の誇大広告や購入者のクチコミなどは禁止されています。価格の安さや効果を強調する広告に惑わされず、安心できるサイトから安全な医薬品を購入するようにしましょう。
※1 医療用医薬品から市販薬に転用されて間もない薬や劇薬など。販売の際、薬剤師が対面で書面を使って情報提供する義務がある
※2「第1類医薬品」は薬剤師のみ。「第2類医薬品」「第3類医薬品」は薬剤師または登録販売者
いつでも元気 2023.12 No.385
この記事を見た人はこんな記事も見ています。