くすりの話

2023年10月31日

くすりの話 インフルエンザの予防接種

執筆/門田 勇輝(徳島・よつば薬局、薬剤師)
監修/金田 早苗(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
 今回の質問はインフルエンザの予防接種についてです。

 インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に分類され、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。インフルエンザワクチンは毎年、そのシーズンに流行するウイルスの株を予測して作られます。近年はA型2つ(A/H1N1亜型とA/H3N2亜型)及びB型2つ(山形系統とビクトリア系統)のそれぞれを培養して製造する「4価ワクチン」が広く用いられています。
 現行のインフルエンザワクチンは、接種すれば発病を完全に防げるというものではなく、最も大きな効果は重症化を予防することです。発病後、多くの方は1週間程度で快復しますが、中には肺炎や脳症などの重い合併症が現れることがあります。特に高齢者や基礎疾患のある方、乳幼児は注意が必要です。
 インフルエンザワクチンの効果は、接種から約2週間で現れ、約5カ月間持続します。インフルエンザは例年1月~2月頃に流行のピークを迎えるので、12月中旬までにはワクチン接種を終えるのが望ましいです。今年は流行の開始が早まっており、可能であれば早めに接種してください。
 ワクチンの有効期間が短いことや流行するウイルスの株が変わることから、ワクチン接種は毎年行う必要があります。

接種後の注意事項

 インフルエンザワクチンの接種後、接種した部位の腫れや痛みなどの副反応が10~20%の方に起こります。また全身性の副反応として、発熱や頭痛、寒気や倦怠感などが起こる場合もあります。これらは通常2~3日で消失します。
 まれに重いアレルギー反応のアナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下など)が見られることがあります。医師や看護師の指示に従い、接種後30分間ほどは体調の変化に注意してください。
 当日はいつも通りの生活をして構いませんが、激しい運動や大量の飲酒は避けてください。入浴は差し支えありませんが、接種した部位を強くこするのはやめてください。

感染予防と免疫力の強化

 感染予防策としては、 外出後の手洗い、アルコール製剤による手指衛生、マスクの着用、 適度な湿度(50~60%)の保持、人混みや繁華街への外出を控えるといったことが挙げられます。またバランスの良い食事、十分な休養・睡眠、適度な運動など、病原体を取り込んでも体内で増殖させないように、免疫力を高めておくことも重要です。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2023.11 No.384

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ