くすりの話

2024年1月31日

くすりの話 不老長寿のNMN?

執筆/藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
監修/金田 早苗(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
 今回の質問は老化を防止するサプリメントについてです。

 寿命が延びる「エイジングケア」効果を謳うサプリメントが人気を呼んでいます。NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)と呼ばれる製品です。
 医薬品や食品の大手メーカーが高額な新製品を続々と売り出してきましたが、インターネット通販では安い商品を売る業者が100社以上も参入しています。4年前は1カ月分で15万円したものが、大手企業製品でも3万円、会社を選ばなければ数千円で買えます。

老化防止で注目

 NMNはビタミンB3などから生成される物質で、体内でNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)に変わります。このNADが老化防止に重要な酵素「サーチュイン」を活性化するとされています。
 2010年代にマウスを使った実験で、NMNに抗老化作用があるとの報告が注目を集めました。2型糖尿病のマウスに症状の改善がみられたり、健康なマウスでも中年太りや骨密度の低下が抑制されました。
 ヒトに対する研究では、糖尿病予備軍の女性でインスリンの感受性が改善したり、骨格筋を再構築する作用が示されました。NMNを使った医薬品の開発が進められる一方で、アメリカでは2010年代後半からサプリメントとして人気が出ました。ところが22年秋、医薬品開発の知的財産保護という名目で、NMNサプリメントの販売が規制されました。
 日本ではNMNは食品として区分され、制限なく販売されています。その中で、品質と安全性の面で問題が指摘されています。

副作用の恐れも

 「朝日新聞」が楽天とアマゾンで売れ筋のNMNサプリメント7製品について買い取り試験を行ったところ、2商品でNMNが全く検出されませんでした。消費者が買う前に品質を知ることは困難です。
 またNMNの材料となるビタミンB3の過剰摂取は、肝機能障害を起こす恐れがあります。副作用情報を伝えず、長期服用を前提に大容量の製品を販売するのは問題です。NMNを点滴投与するクリニックの宣伝が多く見受けられるのも、副作用の点で問題があります。
 科学的な根拠に基づかず、安全だと唱える宣伝があふれていることにご注意ください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2024.2 No.387

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