副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2001年9月11日

副作用モニター情報〈173〉 グリチルリチン製剤の重複投与に注意を

 今回、漢方薬2剤の併用による偽アルドステロン症が疑われた例が2例報告されました。1例は73歳女性で、ツムラ小柴胡湯7.5g(甘草2g)、ツムラ 香蘇散7.5g(甘草1.5g)を各分三で服用(グリチルリチンとして140mg/日)しており血圧上昇を生じた例。もう1例は66歳女性でツムラ芍薬甘 草湯7.5g(甘草6g)、ツムラ小柴胡湯7.5g(甘草2g)を各分三で服用(グリチルリチンとして320mg/日)し、むくみを生じた例でした。とも に他科より同時に甘草を含有する異なる漢方薬を処方されていた例であり、また必要な検査がされておらず自覚症状の出現によりはじめて発見された例です。
 甘草などのグリチルリチン製剤は多くの医療用及び一般用医薬品や、甘味料として食品やタバコなど非常に広く利用されており、1日の摂取量を把握しにくい といわれます。また、医薬品の中でも特に漢方薬、胃腸薬などで甘草含有に気づかないまま長期投与されるケースが多いことが以前から問題視されてきました。
 過去には偽アルドステロン症による低カリウム血症が原因となり、心室性不整脈や意識障害、ジギタリス製剤併用による心不全死亡例も報告されています。
 現在、グリチルリチン製剤による偽アルドステロン症については広く知られていますが、実際にはその危険性に対する認識不足などから未だ重篤化する例が後を絶ちません。
 重篤化を防ぐためにも、薬局からの積極的な情報提供を通じて医師や患者の認識を高め、必要な検査を実施するなどモニターをお願いしたいものです。
 また、漢方薬の処方の7割が甘草を含有します。必ず含有量を確認し、特に甘草湯(8g)や芍薬甘草湯(6g)、甘麦大棗湯(5g)など含有量の多いものは記憶しておく必要があります。

★グリチルリチン酸40mg/甘草1g(薬発第158号厚生省薬務局長通知データ及びツムラ、ミノファーゲン社内データ)

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