くすりの話

2018年10月2日

くすりの話 ヒアルロン酸

執筆/藤竿伊知郎(外苑企画商事・薬剤師)
監修/高田満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 ヒアルロン酸は、コラーゲンとともに美肌効果を期待され、人気の商品となっています。「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能がある」として販売されています。
 10年前は関節の痛みを和らげる効果を期待させる商品が、派手なTVコマーシャルで売られていました。最近は運動機能改善については、配合成分の1つとして扱われるようになっています。

●規制緩和によって

 ヒアルロン酸はグルコサミンとグルクロン酸という2種類の糖が組になり、1万組以上つながった物質です。高い保水力と粘性があり、細胞同士をつなぐ潤滑油やクッションのような役割を果たしています。人の体では皮膚、軟骨、関節液、眼の硝子体
などに多く存在し、およそ半分は皮膚にあります。
 ヒアルロン酸は関節腔内注射や化粧水の保水成分として利用されてきました。一方、サプリメントのように口から摂った場合は、消化されて小さな部品となり腸管から取り込まれます。ヒアルロン酸としてそのまま吸収されたり、吸収された成分からヒアルロン酸が再合成されるわけではありません。
 マヨネーズでお馴染みのキユーピー株式会社は以前、自社のヒアルロン酸サプリメントについて特定保健用食品の申請をしましたが、「口から入ったヒアルロン酸が吸収されて皮膚に届くことの証明がされていない」など、有効性の根拠が不十分だとして、2008年に却下されました。
 15年に国の審査が不要な「機能性表示食品」の制度ができると、同じ成分の製品を「ヒアロモイスチャー240」として発売。規制緩和政策によって、企業が出資した少数の研究だけで効能を表示できるようになってしまいました。

●効果を否定する研究も

 ヒアルロン酸の製品が売り込み対象としている「関節の痛み」「肌の乾燥」は、利用者の主観が効果に強く影響します。広告には「肌の悩みが軽くなった」という利用者の声があふれ、飲んでも効かなかった人の割合や声が載ることはありません。「保水機能を高めた」というグラフが紹介されていることもありますが、その試験の詳しい情報は示されていません。
 一方、企業の資金によらない「国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所」の「素材情報データベース」には、乾燥肌に悩む人に使って効果が無かったという研究が6件載っています。利用者が効能を信じて飲むことで効果が出る“偽薬(プラセボ)効果”を排除するためには、総合的に評価することが必要です。
 ヒアルロン酸を飲んだときの効果については、作用の仕組みの解明、最適な服用量の決定、大規模な無作為対照試験での効果の確認など、まだ信用できる情報がありません。買ってまで飲む必要がある商品とは思えません。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2018.10 No.324

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