MIN-IRENトピックス

2019年4月2日

くすりの話 
酵素

執筆/藤竿 伊知郎(外苑企画商事・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えします。
 今回は酵素についてです。

 「酵素ダイエット」をご存知でしょうか。酵素を食べることは1920年代から始まり、1950年代には「○○酵素」と称する商品が登場しました。2010年からは酵素ドリンクを飲む痩身法が広がり、健康マニアが買う特別な食品から若者向けの商品に変わってきました。
 酵素は生命活動に必要な成分を合成したり、不要になった物質の分解を促進する触媒として働くタンパク質分子です。
 酵素製品の宣伝では、食事に含まれる栄養素を消化・燃焼させてエネルギーに変える酵素の大切さを強調します。それが「加齢や不規則な生活によって不足する」と謳って不安をあおるのです。
 2018年10月、消費者庁は「山野草醗酵酵素ブルーベリーDX」と「めっちゃたっぷりフルーツ青汁」について、景品表示法にもとづく改善措置を命じ、課徴金を支払わせました。「成分を体内に摂り込むことで、全身の代謝酵素が活発に」「149種類の酵素で燃焼する体に」などと宣伝していたことに対し、「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料が認められなかった」と断じたのです。

医薬品の分野でも

 医薬品の分野でも、酵素を主な作用成分とする酵素製剤が相次いで販売中止となっています。
 2011年2月、武田薬品工業が消炎酵素剤「ダーゼン」の販売を中止し、自主回収しました。痰を溶かして排出しやすくしたり、炎症による腫れを抑える薬として1960年代から使われてきましたが、プラセボ(偽薬)と比べた臨床試験で有効性を証明できなかったためです。その後2016年9月までに、同じような酵素製剤はすべて、薬効再評価により販売中止となりました。
 消化機能が落ちた患者さんに消化酵素製剤を用いることはあります。しかし、それ自体が消化酵素で分解されることと、分子が大きくそのままでは腸壁を通り抜けられないため、体内に吸収されて十分な機能を果たすとは考えにくいものです。

ムダ遣いにご用心

 ほんの一部の企業が誇大広告で処分されましたが、ネットには“ニセ科学”というレベルのあやしい情報があふれています。処分を逃れるため、「これを飲んで調子が良くなった」という個人の体験談で売り込む手法も活発です。
 そもそも今販売されている酵素製品は、野菜や果物を発酵させた食品で、どんな酵素が入っているかも明らかにされていません。このような製品を買うのはムダ遣いです。ご用心ください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2019.4 No.330

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ