くすりの話

2020年12月29日

くすりの話 
プラシーボ効果

執筆/中西 剛明(石川・金沢医療事業協同組合・薬剤師)
監修/高田 満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えします。
 今回はプラシーボ効果についてです。

Q.「プラシーボ効果」ってどのような効果のことですか?

A.「プラシーボ」とは「プラセボ」とも言い、日本語で表すと「偽薬」となりますが、決して「にせもの」ではありません。薬としての作用を持たない成分で作られたもので、例えば内服薬なら乳糖やバレイショデンプン(片栗粉)、注射薬なら生理食塩液(通常0.9%)が代表的なプラシーボです。本来は薬の作用を持っていなくても、実際にプラシーボを使うと効果が出てしまうのです。不思議ですね。これを「プラシーボ効果」と呼びます。

Q.本当にプラシーボに効果はあるのですか?

A.これは、薬らしきものを「使った」という事実が心理的に影響を与えることで、効果として現れます。実際に医薬品の開発の際には、プラシーボ効果の影響を差し引く必要があり、原則として比較試験が義務付けられています。この時に偽薬のほうが良い結果を残すこともあるほどで、プラシーボ効果はあなどれません。

Q.私たちが気を付けるべきことはありますか?

A.私たちは暮らしの中で、気付かないうちにこのプラシーボ効果に頻繁に遭遇しています。「薬を飲んだ」「病気が治った」「薬が効いた」という、いわゆる“3た論法”を聞いたことがありますか? 怪しげな薬でもプラシーボ効果がありますから、「飲んだら治った」ということは十分にあり得ます。しかし、その事実だけでこの薬の効果を証明できるかというと、必ずしもそうとは言えません。なぜなら、効果を比べるべき相手との差が分からないからです。ご自身で薬の効果を評価する際には注意が必要です。

まとめ

 「病は気から」という言葉もあるように、「薬と思って飲めば治らない病気も治る」と言われることがあります。人間はプラシーボ効果によって助けられていることもありますので、「にせもの」という考え方ではなく、時と場合によっては本物の薬に負けず劣らずの効果と考えておくのがよいでしょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2021.1 No.350

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