いつでも元気
2012年11月1日
くすりの話 150 インフルエンザの薬
Q:インフルエンザにかかったら、抗インフルエンザ薬を必ず飲まないといけないのですか?
A:インフルエンザにかかると40度近い高熱が出てつらいですね。しかし、熱を出すことでインフルエンザウイルスを攻撃し、弱らせているのです。抗インフルエ ンザ薬には、タミフル、イナビル、リレンザなどがありますが、日頃から健康な人であれば、これらの薬を使わなくても、A型で4~5日、B型で5~7日ほど で自然に治ります。
薬は、「熱や頭痛などのつらい症状を少しでも早く治したい」と患者さんが希望する場合や、体力を消耗することで病状が悪化したり、命にかかわったりする可能性がある場合などに使われます。
タミフルは内服薬で、イナビルやリレンザは吸入して使用します。イナビルは1回吸入するだけでよいといったメリットや、リレンザは準備に手間がかかるなどのデメリットがあります。
Q:抗インフルエンザ薬を使ったらすぐによくなったという人の話も聞きますが。
A:抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスが増えるのを抑えられますが、退治することはできないので服用開始のタイミングが重要になります。この薬はインフルエンザウイルスがもっとも増える、発症後48時間までに服用しないと意味がありません。
しかし薬を使ったとしても、結果は熱が1日早く下がる程度です。それでも使ったその日に、熱が下がる人もいるので「すぐによくなった」という話になるのでしょう。
さらに、抗インフルエンザ薬の副作用には共通して、吐き気、下痢、頭痛、熱が下がりすぎる、異常行動を起こすなどの危険があります。とくにタミフルは、 子どもの異常行動があいついで報告されたため、国は2007年3月から10代の若者・子どもへの使用を原則禁止にしました。
抗インフルエンザ薬ではなく、発熱にはアセトアミノフェン(カロナールなど)という解熱鎮痛剤なら副作用も少なく、必要なときに使うだけなので、おすす めです。個人差はありますが、効果は30分ほどで現れ4時間ほど続きます。飲み薬だけでなく坐薬もあります。
Q:インフルエンザのときに使ってはいけない解熱鎮痛剤があると聞きましたが。
A:解熱鎮痛剤の中でも作用が強力なジクロフェナクやメフェナム酸 (ボルタレン、ポンタールなど)は、インフルエンザにかかっている人への使用が禁止されています。インフルエンザ脳炎・脳症(けいれん、意識障害、異常行 動など)を起こし、手足の麻痺や最悪の場合は死に至るなどの危険があるためです。アセトアミノフェン以外の服用は避けた方がよいでしょう。
家にある解熱鎮痛剤を使うときでも、自己判断せずに、医師や薬剤師にご相談ください。
いつでも元気 2012.11 No.253
この記事を見た人はこんな記事も見ています。