くすりの話

2017年3月31日

くすりの話 プラセンタ

回答・藤竿伊知郎(外苑企画商事・薬剤師)

 健康食品の中でも「プラセンタ」はここ数年、とても目立つ商品です。健康食品だけでなく化粧品にも使われており、テレビや女性向け雑誌で“美肌”や“若返り”に効果があると宣伝されています。
 これらの情報はインターネットでも広まり、この6年でネットの検索数は倍増しました。

●プラセンタって何?

 プラセンタとは、哺乳類が胎児を育てる臓器「胎盤」のことです。豚や馬の胎盤を分解処理したものが、サプリメントやドリンク、化粧品として販売されています。
 胎盤には、タンパク質、アミノ酸、糖質、ビタミン、核酸、ミネラルなどが含まれており栄養成分は豊富です。このことから、プラセンタ商品は「栄養を供給して胎児を育てる臓器=栄養豊富で強い生命力」というイメージを押し出しています。その一方で、医薬品医療機器等法の規制を逃れるため、商品には効能を表示していません。
 ところが、信頼できる情報として国立健康・栄養研究所がまとめた「『健康食品』の素材情報データベース」では、有効性情報は「文献の中に見当たらない」としています。

●安全性の保証は?

 胎盤は、胎児へ栄養供給をするだけでなく、危険な物質が胎児に届かないよう関所の役割を果たしています。そのため、母体の病気や食べ物によっては有害物質が含まれている可能性があり、安全な臓器とはいえません。
 プラセンタは、家畜から人に感染する病原体を除くための加熱滅菌処理をしています。しかし、狂牛病が問題となって以来、「加熱しても死滅しない病原体(プリオン)が蓄積しやすい」として、牛の胎盤利用は禁止されました。このように、今まで知られていなかった人獣共通感染症が発症する可能性もあり、警戒が必要です。
 副作用としては、プラセンタエキス40mgを10日間服用した41歳女性が全身の紅斑と下腿の浮腫を起こした例など、アレルギー症状が報告されています。

● 疑わしきは避けよ

 商品には“プラセンタ10000mg配合”“プラセンタエキス原液100%”などの表示がありますが、製品中の「有効」成分量を表示している製品はありません。
 販売会社が原材料の出所や製造過程などを明らかにしていないため、有効性・安全性について分からないことが多い商品です。

 プラセンタ製品が効くという評判は、研究によって実証されたものではありません。もし効果があるとすれば、神秘性を強調し、希少性をあおる宣伝がプラセボ(偽薬)効果を生んでいるため、と考えます。
 一方で、販売会社が責任を持たない「利用者の感想」をもとに宣伝していることも問題です。「翌日から効果を感じる」など、科学的にあり得ない言葉さえ登場しています。
 宣伝に乗せられて購入するのは、考え直した方が良いのではないでしょうか。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

 

いつでも元気 2017.4 No.306

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