副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2005年8月15日

副作用モニター情報〈229〉 メトトレキサート(MTX)を1年2カ月服用後に汎血球減少症を呈した事例より

(経過)70代女性。慢性関節リウマチの治療中、痛みが悪化し、MTX6mg/週の服用を開始した。以後、定期的に 血液検査をし、順調に経過。服用開始から1年2カ月後に倦怠感と食思不振が出現、精査目的で入院した。入院時、血小板7.2万/μ、白血球6500/μ、 赤血球321万/μ。第2病日には血小板3.4万/μ、網状赤血球0で骨髄抑制による汎血球減少を疑いMTXの拮抗薬であるホリナート(葉酸誘導体)の投 与を開始。第3病日には血小板1.1万/μとなり血小板の輸血を施行。第4病日に白血球3070/μ(好中球629/μ)、赤血球231万/μと最低値を 示したが、その後改善した。
 (考察)MTXによる血液障害は、半年までの発現が 多いとされますが、3年以上経過して発現した例も報告されています。また、血中濃度と骨髄抑制が相関しないともいわれ、MTXがTNF-αを介して何らか の影響を与えているとも考えられます。本症例のように、1年以上服用している例でも重篤な副作用があることを念頭に、定期的な血液検査と体調の変化にすば やく対応することが必要です。
 (副作用発現後の対応)本症例では、副作用が疑われ たと同時に、ホリナート注を開始し、回復に向かいました。ホリナートは活性型の葉酸誘導体の1つであり、MTXで抑えられた葉酸サイクルを回復させ細胞の 損傷を防ぐとされています。MTXによる重篤な副作用が疑われた場合、休薬するだけでなくホリナートの投与など、早期に対処することが重篤化を防ぎます。

(民医連新聞 第1362号 2005年8月15日)

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