副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年4月17日

副作用モニター情報〈243〉 塩酸バンコマイシン点滴静注用によるアナフィラキシーショック

  MRSA敗血症に対し使用した、塩酸バンコマイシン点滴静注用で生じたアナフィラキシーショックが報告されました。
  〔症例〕80代女性。血液培養からMRSAが検出され、バンコマイシン1g+生食100mlを点滴開始、5分後に血圧70mmHg台、自発呼吸低下、ショック状態となり挿菅、輸液開始。その後は血圧80から100mmHg台となる。

*    *

  この症例では、約1カ月前にも6日間、バンコマイシン(1回1g、12時間毎)を投与していましたが、そのときは問題ありませんでした。また事前の問診で 副作用歴はなく、問題ないと判断されていました。院内の基準により点滴開始前の血圧(118/60mmHg)、脈拍(102回/分)を確認してから投与を 開始し、点滴中は観察を行っていました。投与開始5分後、上記症状を呈したため、速やかに処置を行いICUへ移送した結果、回復しました。(本症例ではバ ンコマイシンのアナフィラキシーショックと共に、敗血症性ショック、ブドウ球菌の毒素によるショックも疑われています。)
  日本化学療法学会作成「抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン(2004年版)」、厚生労働省医薬食品局提供:医薬品・医療用具等安全性情報№206が出ています。
  各施設はこれらを参考にして、(1)事前のアレルギー歴の問診。(2)救急処置の対応。(3)投与中の観察を十分にとり安全な抗菌剤使用の対策を取りましょう。
  本症例の発生施設では、ガイドラインに基づき、事前のアレルギー問診、投与前の血圧脈拍確認、投与開始後の頻回のチェック体制を取っていたため、速やかな対応ができました。

(民医連新聞 第1378号 2006年4月17日)

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