副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2008年9月1日

副作用モニター情報〈294〉 アーチスト錠(β遮断薬)による喘息

2008年度第1四半期の集計で、アーチスト錠による喘息様症状の報告がありましたのでご紹介します。
[症例]80 代女性、喘息の既往歴なし。ニューロタン錠(50)0.5錠をアーチスト錠(2.5)1錠に変更後、約1カ月経過して咳が出現。その後、喘息様症状が出た ため本剤を中止。中止後は速やかに回復しました。(併用薬:ワーファリン、ジゴシン、ラシックス、アカルディなど)アーチスト(カルベジロール)は 2002年、日本ではβ遮断薬として初めて、虚血性心疾患または拡張型心筋症による慢性心不全に対する適応が認められ、使用可能範囲が拡大しました。α1 遮断作用による血管拡張作用と不全心筋への抗酸化作用を併せ持つ、非選択的なβ遮断薬です。(α:β遮断効力比=1:8,β1:β2遮断効力比=7:1)
 β2遮断作用は比較的弱いものの、気管支平滑筋のβ2受容体に作用し、気管支の収縮を起こすおそれがあり(非臨床試験モルモットで確認)、「気管支喘 息、気管支痙攣のおそれのある患者」には投与禁忌となっています。
 メーカー資料では発売前、市販後調査を合わせ、呼吸器系障害が約0.4%報告されています。
 また、本剤の特徴として、経口投与後の肝初回通過効果が大きく、絶対的生物学的利用率が健康成人男性で19%と低いことがあげられます。従って肝機能障 害のある患者では、初回通過効果が減弱し、生物学的利用率が上昇し(肝硬変患者では83%、分布容量は2.8倍)、副作用症状が発現しやすくなると考えら れます。そのため減量の必要性があります。
 そのほか、この薬に関して本モニターには、昨年度から、徐脈、めまい、倦怠感、動悸などの副作用情報が寄せられています。

(民医連新聞 第1435号 2008年9月1日)

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