副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2008年12月1日

副作用モニター情報〈300〉 フルニトラゼパム錠による呼吸抑制について

 第2四半期の集計でフルニトラゼパム錠(ロヒプノール錠(R)、サイレース錠(R))による呼吸抑制が1件、CO2ナルコーシスにいたった例が1件報告されました。
【症例】70代男性。入院し、せん妄と認知症を治療中の患者。慢性閉塞性肺疾患、胃癌。併用薬は セロクエル、リスパダール、テオスローなど。夜間の不眠と不穏に対して、ロヒプノール錠を開始(1㎎1錠)。4日間服用後、改善したので中止。翌朝になって呼吸不全、意識レベル低下がみられた。JCS(意識レベル)Ⅲ-100、PCO2:102.8、PO2:47.9。その後、処置により午前中に改善し、 自発開眼した。

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 フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系(BZ系)の中時間作用型の睡眠薬です。BZ系薬物は依存性が少なく、致死毒性が弱いなどの点で安全とされ、不眠症や麻酔前投薬などに汎用されています。一般的には呼吸中枢の抑制作用は弱いと言われていますが、まれに強い呼吸抑制が現れることがあります。フルニトラゼパムは3日~5日で定常状態に達し、最高血中濃度は服用初期の約1.3倍になります。また、代謝物にも活性があり、その半減期が31時間と非常に長いので、日中にも注意が必要になります。
 本症例のように、基礎疾患として慢性閉塞性肺疾患がある場合はとくに注意が必要で、添付文書上は肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期などで呼吸機能が高度に低下している場合は、CO2ナルコーシスを発現しやすいため原則、禁忌です。
 また本症例は常用量1㎎で発現しています。とくに高齢者には注意し、起床時の強い頭痛や、めまい、頻脈、息苦しさなど初期症状がみられた場合は対応が求められます。
 今年度から当薬剤は、外来で30日の長期処方も可能になったので、投薬の際には患者さん、ご家族に、ていねいに服薬指導し注意を促すことが大切です。

(民医連新聞 第1441号 2008年12月1日)

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