副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2009年8月17日

副作用モニター情報〈316〉 ロセフィン(R)静注用(セフトリアキソンナトリウム)による血小板減少症

 ロセフィン(R)は広域スペクトルを有する第3世代のセファロスポリン系抗生物質で、1日1回投与が認められているため、外来も含め使用機会が増えていると思われます。2007年11月には小児への1日1回投与も可能になりました。
 2008年度の当副作用モニターには、発赤・発疹、掻痒感、薬疹、薬剤熱、喘息様症状・喉頭浮腫の過敏反応を生じた9例が報告されました。また、咳(喉の違和感)、薬剤性肺障害が各1例、血液障害では血小板減少症が1例、報告されています。

【血小板減少症を生じた症例】
 90代女性。肺炎、腎盂腎炎の診断で入院。ロセフィン(R)1日4gを開始。10日目に採血後の出血が止まらず、血液精査で血小板が0.1万/μlまで 低下しており、同薬を疑って中止。止血剤などで治療したが回復せず、中止3日目に濃厚血小板10単位を投与。中止4日目の血小板は2.6万/μに、中止7 日目の血小板は21.0万/μlに回復した。

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 血小板機能異常は、広域スペクトルのβ-ラクタムでもみられます。また、非置換性N-メチルチオテトラゾール(NMTT)側鎖をもつセファロスポリン (セフォペラゾン・セフメタゾール等)は血小板機能を変化させることがわかっています。NMTT側鎖と構造が似たN-メチルチオトリアゾン環を有する薬剤 (ロセフィン(R))は、用量依存性にビタミンK依存性凝固因子を阻害することが知られています。
 これらの薬剤を投与する際は、血液障害に対する観察が必要です。出血の危険のある患者では、止血系(プロトロンビン時間、出血時間)のチェックが不可欠です。
 上記の症例では黒色の吐物がみられ、消化管出血が疑われました。90代の高齢者に1日4gの投与では、腎機能障害への注意も必要だったと思われます。

(民医連新聞 第1458号 2009年8月17日)

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