健康・病気・薬

2009年10月5日

副作用モニター情報〈319〉 アムロジピン (持続性カルシウム拮抗剤) と歯肉肥厚 ~歯茎がはれる、口の中が痛い、食事がしにくいのは薬のせいかもしれません~

 アムロジピン(先発商品名はノルバスクやアムロジンなど)は高血圧や狭心症に広く使用されている持続性カルシウム拮抗薬です。全日本民医連副作用モニ ターの2008年度と2009年度第I四半期における集計では、アムロジピンの副作用報告は111症例130件でした。内訳は皮疹等の皮膚症状が15件、 歯肉肥厚と類似する副作用が15件、めまい、立ちくらみ、ふらつきが10件、ほてり10件などでした。メーカーの市販後調査では頻度が0.1%以下しかな い歯肉肥厚が非常に多かったことが特徴です。

【症例1】60代女性、高血圧でアムロジン2.5mgを開始。約1年後、歯肉炎が気になりだし、 歯が何本も抜けた。年齢のせいと思い歯科を受診したが治らず、副作用かはっきりしないままアムロジンを中止、レニベーゼ(ACE阻害剤)に変更した。その 後約4カ月で歯肉炎が治り、副作用だったことがわかった。

【症例2】以前よりアムロジン2.5mg服用(開始時期不明)。同薬を5mgに増量した1カ月後、歯肉が腫脹しはじめ、その3カ月後に歯肉が増加。同薬を中止し歯科に通院、2カ月かけて歯肉を少しずつ切除。その後は歯肉肥厚はない。

 添付文書には「歯肉肥厚が出た場合中止すること」と記載されています。副作用のグレードは、局所的なのでI(軽症)とされていますが、患者のQOLには大きな影響を及ぼします。
 副作用の発症機序は不明ですが、細胞内へのカルシウム流入が減少するため、歯肉の線維芽細胞でコラーゲンの分解が抑制され、歯肉肥大が起こる、また末梢 動脈と静脈の拡張がアンバランスになり、うっ血や浮腫が発現し、ブラッシングなどの刺激で炎症が起こるためと考えられています。同剤だけでなくニフェジピ ンなどカルシウム拮抗剤全般で起こります。
 メーカーの市販後調査では、ほてりが0.8%、めまい、ふらつきが0.7%、頭痛、頭重感0.6%ですが、歯肉肥厚は0.1%以下しかありません。その 理由は、歯肉肥厚が長期服用後に起こるため、患者や医師も副作用と気づきにくく、回復までに時間がかかるため、報告されにくいことが考えられます。
 患者からの訴えだけでなく、歯科、看護、リハビリ、栄養、薬局が協力して発見していくことが大切です。

(民医連新聞 第1461号 2009年10月5日)

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