健康・病気・薬

2009年10月19日

副作用モニター情報〈320〉 吸入ステロイド剤・オルベスコ(R)インヘラーによる口腔カンジダ症

 現在、日本で使用できる吸入ステロイド薬には、ベクロメタゾン(BDP,キュバール(R))、フルチカゾン(FP,フルタイド(R))、ブデソニ ド(BUD,パルミコート(R))、シクレソニド(CIC,オルベスコ(R))、モメタゾン(MF,アズマネックス(R))があります。
 これらは剤型、粒子径の違いによって、肺への到達率、副作用発現率、経口吸収率などに差があります。また、嗄声や口腔カンジダ症など口腔・咽喉頭への副 作用は、吸入器や粒子径に影響されます。
 オルベスコ(R)の主薬であるシクレソニドは、肺に吸入された後、組織中のエステラーゼによって加水分解を受け、活性代謝物に変わるプロドラッグです。 また、そのエアロゾルは1μm程度の微細粒子の割合が高く、末梢気道まで効率よく到達するため、嗄声や口腔カンジダ症など局所の副作用が少ないと期待され ていました。
 しかし今回、当モニターに口腔カンジダ症が報告されています。

【症例】50 代男性。口腔内カンジダ症出現のためフルタイド(R)、キュバール(R)の中止歴あり。プレドニゾロン2.5mg1錠を内服中で、ピークフロー値 (PEF)は朝200~250、夕300~350で、大きな発作はなく経緯していた。オルベスコ(R)が追加された3日後、喉がイガイガし、白いカビのよ うなものが出た。吸入は朝食前にし、吸入後のうがいも行っていた。開始7日後にオルベスコ(R)を自己中止した。その2週間後、受診時に口内に小白苔と発 赤があり、口腔内カンジダ症を疑い、ファンギゾン(R)シロップを処方。その後回復した。

*   *

 オルベスコ(R)による口腔カンジダ症の発現件数は、承認時1件(0.2%)で、経口ステロイド服用中にオルベスコ(R)を追加投与して、口腔・咽頭の副作用が増えたとの報告はないとされています。
 プロドラッグであり、口腔内では活性体が少ないと言われる製剤であっても、今症例のような場合もあります。投与後の観察が重要です。とくに、吸気の力が低下した患者では、吸入補助具(スペーサー)を使用して、口腔内に薬剤が付着しない工夫も必要だと思われます。

(民医連新聞 第1462号 2009年10月19日)

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