副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2007年2月5日

副作用モニター情報〈261〉 シロスタゾール (抗血小板薬)による頻脈・動悸

 2005年12月から2006年3月の4カ月間に、シロスタゾールによる動悸・頻脈の副作用が4件報告されました。脳梗塞が適応症に加わり、処方が増えたことが影響していると考えられます。
〔症例1〕軽い脳梗塞があるという診断で、プレタール100mg1錠を服用開始。その後、頻繁に動悸が発現する。副作用を疑い、アスピリン腸溶錠に変更、3日後には動悸は起こらなくなった。
〔症例2〕脳梗塞に近い症状と診断され、プレタール100mgを2錠/分2で服用開始する。5日後に、プレタールを服用した2~3時間後に動悸が起こることに気がつく。アスピリン腸溶錠に変更し、動悸消失。

*    *

 本剤は「閉塞性動脈硬化症に対して最も強力な効果を示す薬剤」としてWHO(世界保健機構)から紹介されています。血管拡張作用を持つ血小板ホスホジエ ステラーゼⅢ(PDEⅢ)選択的阻害剤ですが、心筋のPDEⅢも阻害するため、陽変力作用にもとづく強心作用を引き起こします。頻脈・動悸の副作用はこの 強心作用の延長線上にあるものと考えられます。
 この強心作用を理由にFDA(アメリカ食品医薬品局)は、うっ血性心不全のある患者さんへの投与を厳しく禁止しています。日本でもうっ血性心不全のある 患者さんへの投与は禁忌となっています。本剤と適応症は異なりますが、同様のPDEⅢ阻害作用よる強心作用を持つ薬剤に、テオフィリン、ミルリノン、ピモ ペンダン、シルデナフィルなどがあります。これらの薬剤にも副作用として動悸・頻脈が知られています。これらの薬剤と併用するときは、相互作用で不整脈な ど循環器系の副作用が起こりやすくなると考えられるので、十分に注意してください。基本骨格に本剤と同じキノリノン誘導体を持つプロカテロールやベスナリ ノン、胃粘膜保護剤のレバミピドを併用する際にも、同様に相互作用が起こることが予想されるので注意が必要です。

(民医連新聞 第1397号 2007年2月5日)

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ