副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2010年12月6日

副作用モニター情報〈344〉 ペンタサ(メサラジン・潰瘍性大腸炎治療薬)による薬剤性肺障害

【症例】40代男性。潰瘍性大腸炎と診断され、ペンタサ錠が開始され、その後ペンタサ注腸も追加された。ペンタサ錠の開始から17日後、発熱と咳が発現。50日後、好酸球性肺炎と診断され入院。CTを施行したところ、両側の胸膜直下に非区域性の所見があり、縦隔小リンパ節腫大が見られた。薬剤性肺炎を疑いペンタサを中止した。このときの体温は38.2度、CRP9.41mg/dl、白血球数8640、好中球も高値 であった。その後の気管支鏡検査で、好酸球性肺炎の所見はないが、薬剤性肺障害に矛盾しない所見であった。治療はぜずに回復し、退院となった。リンパ球幼 若化試験(LST)は陰性であった。

※    ※

 ペンタサ錠は、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療剤です。ペンタサ錠の添付文書では重大な副作用として、好酸球性肺炎、肺胞炎、肺臓炎、間質性肺炎等の肺 障害が報告されており、過敏性肺障害の副作用の発現率は0.01%以上0.1%未満となっています。市販後報告(1996年7月~2008年10月)で は、副作用2004件中、呼吸器系副作用167件(間質性肺疾患53件、好酸球性肺炎30件、肺炎23件など)となっています。
 今回の症例は、症状が非特異的なため薬剤性を疑うのは難しいものでした。咳・発熱が続く場合は、薬の副作用である可能性も常に考えておく必要があります。

(民医連新聞 第1489号 2010年12月6日)

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