健康・病気・薬

2011年12月5日

副作用モニター情報〈363〉 ミルタザピンの副作用報告について

 ミルタザピン(商品名:リフレックス錠、レメロン錠)は、2009年に発売された抗うつ剤です。比較的軽微な副作用ですが、昨年から12症例の報告が寄せられています。
 最も多い報告は眠気で、次いでふらつき、ぼんやり感、倦怠感、過食、体重増加などです。
 ミルタザピンは、ノルアドレナリン神経活性化を介して、セロトニン遊離促進を図る薬剤であり、SSRI、SNRIとは異なる作用機序を持っています。薬 物構造は、四環系のミアンセリン(テトラミド)に類似しています。効果発現の早さが期待された薬剤で、特に睡眠障害はプラセボ対照試験において1~2週目 で有意な効果をあらわしています(うつ病中核症状は5~6週目に有意な効果がみられました)。単回投与時の半減期は32時間であり、特に初回服用翌日の眠気、ふらつきに注意が必要です。
 また食欲亢進は国内プラセボ対照試験では、女性に多くみられ(男性1%、女性7.2%)、体重増加につながりやすい(男性2%、女性11.7%)という 結果が得られています。食欲亢進は3週までの発現がほとんどでした。
 薬物動態(薬物血中濃度推移)は7日間反復投与で、男性と比較して女性で半減期の延長、利用された総薬物量の目安となるAUCの高値(非高齢女性は約2 倍)を示しており、他の副作用についても女性で多く発現する可能性があることに注意が必要な薬剤と言えます。
 市販後の使用成績調査で有効性、安全性についての性別による検討が求められていますが、現在進行中で解析結果はまだ出されておりません。

(民医連新聞 第1513号 2011年12月5日)

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