副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2012年2月20日

副作用モニター情報〈367〉 サプリメント(グルコサミン)による肝機能障害

 サプリメント「植物由来のグルコサミン」による肝機能障害が報告されました。

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  症例)70代前半女性、C型肝炎、便秘、高血圧症、逆流性食道炎にて、アムロジピン、オメラップ、マグミット、サプリメントとしてローヤルゼリー(10年以上)服用中。関節痛で、植物由来のグルコサミン「HAC」服用を開始しました。3週間後、整形外科を受診し、ロキソニンテープを処方され、疼痛管理をし ていました。
 服用開始2カ月後の血液検査でGOT/GPT:70/102、AL-P:967、γGTP:330、肝機能障害の疑いありと指摘されました。3日後の検 査では、GOT/GPT:76/79、AL-P:1124、γGTP:408。エコー施行しましたが、肝腫大などの異常所見なし。ロキソニンテープによる 副作用の可能性も検討し、同剤を中止。その1週間後、「急激なガクンとした疲れ」を訴えたため、両サプリメントを中止しました。中止4カ月後 GOT/GPT:20/16、AL-P:309、γGTP:33に回復しました。
 基礎疾患にC型肝炎がありますが、服用前に検査値異常はありませんでした。経過をみるとグルコサミンによる肝障害の可能性が高いと考えられました。この症例の薬物性肝障害診断基準スコアリングは、胆汁うっ滞型でスコア6点でした。

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 サプリメントは、医療用医薬品と違い、医師の処方もなく、比較的安易に購入でき、最近では、テレビCMの影響も小さくありません。グルコサミンは、グルコースにアミノ基がついた代表的なアミノ糖であり、カニやエビなどの甲殻から得られるキチンを分解して得られます。今回の症例で、服用したグルコサミン は、トウモロコシから抽出して製造された植物由来のものでした。短期間であれば安全性が高いと思われていますが、グルコサミン摂取による、血糖値、血圧、 血中コレステロールの上昇などが懸念されます。糖尿病、脂質異常症、高血圧のリスクのある患者が服用する場合は、注意が必要です。薬局窓口で、患者からサプリメント服用を聞き取ることも重要です。

※ 植物由来のグルコサミン「HAC」(8錠中):グルコサミン1200mg、サメ軟骨抽出物(コンドロイチン含有)47mg、ユニベスチン250mg含有

(民医連新聞 第1518号 2012年2月20日)

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