副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2012年9月17日

副作用モニター情報〈380〉 アリピプラゾールの副作用第2報

 2002年に誕生したアリピプラゾール(エビリファイ(R))は非定型抗精神病薬で、日本では2006年に販売が始まりました。その後、次第に使用量が増加しています。当モニターで2年前に報告した後は、副作用報告は12件で、使用頻度の割には少ない印象です。
 内訳は、アカシジア4例、以下、舌のもつれ、ろれつが回らない、手、足、首の震え、CPK上昇が各1例ずつで、ドパミン2(D2)受容体阻害関連の症状 が多い傾向でした。一方で、吐き気、夢遊病、羞明(しゅうめい、強い光を受けたときに不快感や眼の痛みなどを感じること)のようなセロトニン(5-HT) 作用(いずれも1例)が疑われる症状もありました。発現時期は、3日以内が5例、1カ月以内が2例、数カ月が2例、1年以上が1例、不明が2例で、服用初 期の発現が目立ちました。

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 アリピプラゾールの構造はトラゾドン類似であり、その一部をキノリノン基に入れ替えた骨格です。ですから、トラゾドンのように5-HT1Aの部分作動 薬、5-HT2Aの拮抗薬としての側面を持っているかもしれません。5-HT作用はD2刺激剤の吐き気などと共通した作用があるので、D2刺激作用と区別 がつかないケースもあります。
 「新規の作用」とされるドパミン部分作動作用については、「D2受容体を強力に阻害しつつ弱く刺激する」と、もっともらしく解説されていますが、実は5-HT作用を併せ持っている、ということなのかもしれません。
 今回の副作用報告を見ると、D2受容体阻害作用の方が5-HT作用より強く現れる傾向にあります。これはドパミン部分作動作用が、D2受容体阻害による作用と、その反対の5-HT作動性の作用の、どちらが出るか予測がつかないことを暗示しているようです。
 不都合な作用がどのような形で現れるのか、期待した効果の反対の結果で現れるのであれば困ったものです。ですから服用開始初期に注意を払い、どちらの作用が発現するのかを見極めながら使う薬と考えたほうが良いでしょう。

(民医連新聞 第1532号 2012年9月17日)

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