副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年2月4日

副作用モニター情報〈387〉 高カロリー輸液による肝機能障害

 高カロリー輸液投与患者において、ALTやAST、ALP、γGTPの上昇は日常的に見られる症状です。今回、エルネオパ(一般名;高カロリー輸液用 糖・電解質・アミノ酸・総合ビタミン・微量元素液)による肝機能障害が報告されました。

症例)80歳代女性、5月からエルネオパ2号1500ml開始。 6/2の検査結果では正常範囲内だったが6/16の検査でAST608、ALT487となる。検査結果を受け、6/18にアミカリック(アミノ酸・糖・電 解質注射液)へ変更。(エルネオパ投与期間は1カ月以内)その後AST、ALTは7/12検査で正常範囲になる。
【検査値】 (6/18) AST:608 ALT:487 ALP:731 tbil:0.4 BUN:26.1 Cr:0.94 UA:2.9

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 エルネオパ2号は、262.5gのブドウ糖が含まれています。成書では、ブドウ糖の投与速度の上限は0.5g/kg/時となっていますが、ブドウ糖の投 与速度が4mg/kg/分以下と4.1-5mg/kg/分と5mg/kg/分以上を比較した検討では、4mg/kg/分以下の患者では200mg/dl以 上の高血糖がみられなかったのに対し、5mg/kg/分以上の群では50%近くにみられたと報告されています(Rosumarin et  al.:Nutr.Clin.Pract.,11:151-156,1996)。今回の症例の場合、体重は不明ですが、高齢で低栄養、高カロリー輸液を施 行されていたことから、30kg程度である可能性があります。そうであれば、投与速度は6mg/kg/分を超えるので注意が必要です。変更になったアミカ リックは用量、用法が不明ですが、ブドウ糖量はかなり減ったと推測されます。

(民医連新聞 第1541号 2013年2月4日)

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