副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年7月15日

副作用モニター情報〈398〉 エルデカルシトールによる高カルシウム血症

 エルデカルシトール(商品名:エディロールカプセル)は、活性型ビタミンD3誘導体です。ビタミンD3は、腸管でのカルシウムやリンの吸収を促進 させる作用があり、カルシウム代謝調節作用、骨代謝調節作用、副甲状腺ホルモン分泌抑制作用及び細胞分化誘導作用などの生理作用を有しています。骨粗しょ う症の薬物治療ガイドラインでは、活性型ビタミンD3製剤の中でも本薬のみが、骨密度増加、椎体骨折予防の点から強く推奨されています。しかし、本薬は日 本のみの限定販売で、いわゆるローカルドラッグです。今後も海外での販売は予定されていません。
 臨床試験においては、既存の活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール)と比較して、骨密度の優位な増加、骨折率の低下が特徴とされています。本薬 の治療用量の0.75μgは、アルファカルシドール1μgに相当します。半減期の長さ約49時間(アルファカルシドールは約17時間)による、血中カルシ ウムの持続的な上昇が影響していると考えられます。他にも要因はあるとは思われますが、このことは高カルシウム血症のリスクのひとつと考えていいでしょ う。さらに、カルシウム値が高値になった場合は、本薬を減量することとされていますが、0.5μgでの有用性のエビデンスはありません。

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 過去1年間で、民医連副作用モニターに寄せられた本薬による高カルシウム血症は3件。そのうち2件は、他の活性型ビタミンD3製剤からの切り替えによる症例です。
 この1年間の高カルシウム血症の報告数は少ないですが、切り替えの際にも、やはり軽視できません。初期投与に対しては言うまでもありませんが、投与中は 血清カルシウム値を定期的(3~6カ月に1回程度)に測定すること。特に、処方対象者が多い高齢者では腎機能が低下している場合も多いため、高カルシウム 血症の発現リスクも高いと考えられます。高カルシウム血症に関連する症状(倦怠感、いらいら感、嘔気、口渇感等)の発現に注意してください。

(民医連新聞 第1552号 2013年7月15日)

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