副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2013年11月4日

副作用モニター情報〈405〉 メトグルコ(メトホルミン高投与量)による消化器副作用多発

 2010年に糖尿病治療薬メトホルミンの高用量投与が可能となった「メトグルコ」が発売されました。臨床試験の結果をうけて、常用量が 500mg~1000mg/日とされ、最大投与量も750mg/日から2250mg/日までの増量が可能となったほか、従来の製剤では投与禁忌であった高 齢者や軽度の腎機能障害の患者への投与も「慎重投与」となったことから、メトグルコへの切り替えがすすんでいます。
 民医連の副作用モニターに報告されたメトホルミン製剤の過去1年間の副作用報告は16件。そのうち、従来の最大投与量を超える1000mg以上の投与量 の症例が6件ありました。内訳は下痢が4件、吐気・嘔吐と動悸が各1件です。
 いずれも500mg→1000mg、750mg→1500mgなどに増量して数日のうちに発現し、減量で回復しています。メトグルコの臨床試験での消化 器症状の発現割合は、プラセボ群32.4%、750mg/日群46.0%、1500mg/日群61.0%であり、用量の増加に伴い増大することが知られて います。
 なお、高用量製剤の発売を受けて日本糖尿病学会は2012年2月、「ビグアナイド薬の適正使用に関する勧告」を発表し、1)SCr値(酵素法)が男性 1.3mg/dL、女性1.2mg/dL以上の患者へは投与を推奨しない。2)過度のアルコール摂取、脱水の患者へは禁忌。3)高度の心血管・肺機能障 害、外科手術前後、肝機能障害に禁忌、経口摂取が困難、寝たきりの患者へは投与すべきではない。4)高齢者は慎重投与となっているが、75歳以上の高齢者 は原則として投与の推奨はしない、としています。
 メトホルミン製剤の重篤な副作用に「乳酸アシドーシス」があります。従来の製剤の添付文書では禁忌となっていた、腎機能障害や高齢者など高リスク患者へ の投与で出現し、投与量や投与期間には一定の傾向はないとされています。しかし、投与初期の一過性の軽度の下痢とは違い、高用量へ増量した時の下痢は、禁 忌となる脱水症にもつながりかねないことから注意が必要です。
※参考資料
「ビグアナイド薬の適正使用に関する勧告」

(民医連新聞 第1559号 2013年11月4日)

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