くすりの話

2014年10月1日

くすりの話 171 薬害根絶デー

Q:薬害根絶デーとは何ですか?

A:genki276_061980年代、血友病患者にウイルスの不活化を施していない血液製剤が使われ、多くのHIV感染者を生んだ薬害エイズ事件が起こりました。ウイルス感染 の危険を知りながら販売していた製薬企業と国の事実隠ぺいにより多くの被害者が生まれたこの事件の反省から、1999年8月24日、厚生省(現・厚生労働 省)は薬害根絶のための最善の努力を重ねていくという「誓いの碑」を庁舎正面玄関前に建立しました。
 その翌年から毎年8月24日、全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が厚労相に要請文を手渡す「碑の前行動」をおこない、厚労省・文科省交渉、厚労省 前でのリレートークなどを実施しています。これが「薬害根絶デー」です。民医連も、各地で薬害根絶を訴えています。

Q:薬害と副作用被害は違うのですか?

A:医薬品において、治療に期待される効果を主作用、それ以外の効果を副作用と言います。 たとえば高血圧の薬は血圧を下げるために用いますが、人によっては皮疹などの症状が副作用として発生することがあります。
 一方、薬害は国や製薬企業などによって医薬品の危険性に関する情報(副作用を含む)が隠ぺい、軽視、わい曲されたまま使用され、健康被害が社会的に広く及ぶ場合を言います。

Q:薬害をなくすために求められることは?

A:人の命や健康より利益を優先する製薬企業の姿勢を正すことです。製薬企業や官僚、学会などの癒着構造を断ち切ることも必要です。
 たとえば薬害エイズ事件の後も、薬害肝炎が起こりました。製薬企業は感染の危険を知りながらC型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤を販売し、国も黙認し ました。薬害イレッサでも治験で発生した副作用死が軽視され、申請から5カ月という早さで承認されましたが、臨床での副作用死が多発しました。
 薬害イレッサでは専門医集団と厚労省の関連を疑わせる動きも。2011年、日本肺がん学会が"承認後の結果から、承認前や承認直後の責任を問うのは慎重に"という声明を出しましたが、この下書きは厚労省が作成したと言われています。
 薬害肝炎訴訟を受けて厚労省が設置した再発防止委員会は、製薬企業の薬害教育・自主的倫理管理の強化、承認審査のあり方、市販後の安全調査など、さまざ まな提言をおこないました。特に、医薬品行政の第三者監視・評価組織の設置を厚労相が約束していることは重要です。
 現在、子宮頸がんワクチンの副作用被害が「薬害ではないか」という議論が起こっています。被害者の救済と同ワクチンの副作用について評価できる組織の早期設置が求められます。

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